小説『むンむンぬれぬれ ~ハダカで潜入取材♡ の巻~』

2017年04月01日 00:00

 吹雪が目に入って痛い。ヒュゴォォォと空気を切り裂くような音を立てて、目と鼻と耳とほっぺたを直撃する。
 おミコシを担いでるあたしの周りにはふンどし一丁の男達がわンさかいるというのに、とても目なンか開けていられない。うっかり目を見開いたら、そこめがけて弾丸でも打ち込ンでくるみたいに吹雪が襲ってくる。
 それにしても、このおミコシいったい何キロあるのかしら。肩に食い込ンでずっしりと重い。
 沿道の見物人は、はしゃぎながら次々と水をかけてくるし。足は痛いのを通り越して感覚がなくなってくるし。
 もう、最悪。
 あンまり寒すぎて、知らない間に涙が出てくるし。
 裸詣りのビジュアル的にはこれ以上ないほどいいンだろうけど、やってるからすれば、とンでもない地獄。
 なンでこンなことになっちゃったのかしらン。
 
 ――と、ちょっとベタな出だしで始めちゃったけど。
 あらためて自己紹介しちゃいます。
 あたし、官能小説書いてるンです。
 そンなに……うーン、まったく有名じゃないけど。
 詳しくはこちらを見てもらうことにして。
 でも最近はあまり小説書いてない。
 ううン、書いてはいるンだけど、なかなかキーボードが進まないの。
 どうしちゃったのかしら。更年期……じゃないと思う。まだ。
 
 若い頃に比べて執筆意欲、衰え始めているのかもしれない。
 困ったわね。
 商売あがったりだわ。
「商売」と言えるほど、稼いでるわけじゃないけど。
 というか、小学生のお小遣いにすらなってないけど。
 ただでさえお金ないのに、ボーっとしてたら干からびちゃうわ。
 このままじゃダメね。すぐに干からびババアになっちゃう。思い立ったら即行動よ。
 そンなわけであたし、ラッシュアワーの電車に乗ることにした。
 どうしてかって?
 すし詰めの乗客でむンむンの車内なら、きっとあたし、誰かにイタズラされるはずだわ。それをそのまま小説にすればいいの。ゲイ小説といえば「痴漢電車」よね。
 痴漢するのは犯罪だけど、されるのは犯罪じゃないし。もしかしたら気持ち良い思いできるかもしれない。一石二鳥ね。
 そうそう、そのときの服装なンだけど。
 痴漢されに行くわけだから、普通の服装じゃダメなわけよね。
 そこであたし、痴漢の人に目をつけられやすいように、
 レオタードかセーラー服
 を着ようかとも思ったンだけど、やっぱりここは無難に
 全裸にトレンチコート
 を着ることにした。これだと誰かに向かって前を開かない限り犯罪にはならないし。
 そもそもあたしレオタードもセーラー服も持ってないンだけど。
 もっと体が出来ていれば、ラグビーのユニフォームを着てもいいンだけど、さすがにそれは自信がない。あとプロテイン三十キロは飲まないとだわ。
 早起きして、自分の部屋で服を全部脱いで、昔、カタギのお仕事をしていた時に着ていた一張羅のトレンチコートを押入れから出してきて羽織ったンです。
 冷えたツルツルの生地が肌に触れて、ひゃぁぁっ、て声が漏れる。
 例年に比べて雪は少ないとはいえ、やっぱり十二月だし。
 ちなみにこのトレンチコートは、前の職場で人間関係がドロドロのグチャグチャのヌルヌルになって辞めてから、一回も袖を通していない。当然デザインも昔風で、アメフト選手かっていうくらい両肩のパットが盛り上がっている。
 コートの裾からにょっきりと顔をのぞかせているスネを、昔どこかのビジネスホテルに泊まった時にもらってきたビジネス用のハイソックスで隠して、家族の誰にも見つからないようにして、あたし近くの駅に向かうことにしたンです。
 この日はまだ雪がそンなに積もってなかったンだけど、それでも冷たい風が吹き付けてきて、コートの間から体を冷やしていく。いろンなところが縮こまっていくンだけど、電車に乗ったらきっと誰かが温めてくれるンだわ。すっごく、いやらしい手付きで。
 想像しただけでじゅン、ってなるンです。
 駅に着くまで、通学中の子供達、サラリーマン、ゴミ出しの主婦達とすれ違ったけどなンだか全員、ひょンな顔をしてあたしを見ている気がする。
 うーン……。
 気のせいねきっと。
 駅に着いたあたしは、券売機で切符を買って二階へと階段を上る。時刻は八時ちょっと過ぎ。
 ――『まもなく電車が到着します。白線の内側でお待ちください』
 自動アナウンスにあたし、期待が高まる。
 列車が来た。高校生たちを中心に結構乗客が乗っている。ドキドキ。
 ドアが開いた。さあ乗り込もうとあたしが一歩前に足を踏み出した時、
 アッ
 一斉に車内の学生がホームに降りてきた。
 あたしすっかり乗り込む気だったから、降りてくる学生たちのちょうど真ン中に邪魔するみたいに立ち止まってしまった。その時、
「チッ」
 って舌打ちと、
「おっさン邪魔くせえ」
 って二、三人の女子がささやき合う声が耳に入ったンです。
 まさかとは思うけど、もしかしたら「おっさン」ってあたしのことかしら……。
 あたし、カーッと頭に血が上っちゃって、
 何よこの小娘ッ、ションベン臭いあンたの●●●にあたしの●●●●●●ンでやるわよッ、てブチ切れそうになったけど。
 そもそもあたし、女に興味なかったンだわ。
 アッ、発車ベルが鳴った。
 ガーン。
 電車の中、ガラガラ、なンです。
 固まってるあたしの目の前でドアがプシュー、と音を立てて閉じる。
 そして、次の駅へと行ってしまった。
 あたし、誰もいないホームに取り残されたまま、それをボーゼンと眺めていたンです。
 
 ――あ、列車の風がコートの隙間からビューって入り込ンできて、
 こすれちゃって
 ゾクゾクしちゃう。
 癖になっちゃうかも♡
 
    ♥
 
 その後も乗る駅や路線を変えてみたンだけど(もちろン裸コートで♡)、結局あたし痴漢をされたり見たりすることなかったンです。
 列車が二両編成のワンマン電車で、さらにローカル線だった
 ところに問題があったのかもしれないわね。
 決してあたしの体に魅力がなかったからだとは思わない。思ってないし認めてもいない。
 ……ま、列車の中で、あたしの周りだけ一定の空間が開いていた気もするけれども。
 それにしても困ったわ。
 夜になって自分のお部屋に戻ったあたし、机の上で開いているノートパソコンの真っ白なテキストエディタを見てため息をつく。このままだとただプチ露出に目覚めただけのオジさンになっちゃう。
 痴漢電車以外に、ゲイ小説によくあるシチュエーションてナニかしらン。
 あたし、これまで買ったゲイ小説やゲイ漫画、ゲイ向けゲームをもう一度見直して――
 みようかなって思ったンだけど、今日の分のツイッター書くの忘れてたわ。
 とりあえずネタを考えてみる。
 ……(十分経過)
 …………(二十分経過)
 ………………(三十分経過)
 ダメだわ、なんにも思いつかない。
 完全にネタ切れね。
 こういう時はあたし、以前書いたツイートからネタを探すンです。
 あたしボーッと過去のつぶやきを眺めていたら、
 
 (…きこえますか…今…あなたの…心に…直接…呼びかけています…年始のテレビ…特番だけ予約して…安心していませんか…裸祭りと…初日の出を見る男湯の客のニュースを…忘れていませんか…元日の…ミニニュースが勝負です…民放もN●KもBSも…関係ありません…今すぐ予約をするのです…今すぐ)
 
 そうだわ、田舎といえば裸祭りじゃない。せっかく田舎に住ンでるンだから、それをネタにしない手はないわ。
 早速あたし、ネットで調べてみたンです。
 そしたら、来週に隣町で「裸詣り」が行われるっていう情報が。ナイスタイミングね。
 あたしルンルン気分で、神社の名前で画像検索したサイトの一覧から、あたしがピンと来た、「裸祭り探訪記」ってサイトのフォトギャラリーに目を通していった。
「あなたは●●●●番目のお客様です」とか「あしあと」とか、グニグニと動く矢印とか、九十年代にありがちだった素人っぽいシンプルなデザインだけど、裸祭りの写真はヒンパンに更新されてる。
 隣町の「裸詣り」の写真は、去年のが掲載されてて、村の会館に参加者が集まって裸になってふンどしに着替えるところから始まってる。その田舎の男性ならではの素朴な色気がむンむンと充満してて、あたし思わずじゅン、ってなっちゃった。あたしもどさくさに紛れて、着替えしてるところ覗けるかしら。
 それにしても、このサイトの写真、男たちのお尻とかふンどしの膨らみとか、ふンどしからはみ出したお毛々とか、やたらと下半身がアップになってるような気がするンだけど、管理人さン、本当に祭り「だけ」のファンなのかしら。一応「お気に入り」にはしておいたけど。
 続いて、吹雪の中大きなしめ縄を四、五人で担いで裸で歩く男たちの写真。
 みンな顔をしかめていて、すごく、寒そう。
 当日は、万全な防寒対策が必要ね。
 
    ♥
 
 大晦日を来週に控えた十二月某日。
 朝十時に家を出て乗り換えの駅で立ち食いそばを食べて、午後一時過ぎにローカル電車の無人駅を降りたあたしは、裸詣りの会場となる神社へと向かっていた。
 この村に来るのは初めて。トラさンの映画にでも出てきそうな、のどかな田舎の村って感じね。
 駅前から神社までの道案内看板が数十メートルごとに立ってるから、スマホを使わなくても迷わずに行けると思うけど。
 本当は家から車で来たかったンだけど、昨日パパに訊いたら、「明日は俺が使うからダメだ」って言われちゃった。あたしが買った車じゃないから、しょうがないわね。
 地吹雪が少し強く吹いていて、曇り空からは今にも雪が降り出しそう。雰囲気があるといえばそうだけど、この寒空にふンどし一丁で参加する人は大変ね。
 出かける前にパパから「今日は不審者みたいな格好するンでないぞ」と言われちゃったけど、さすがにこのお天気に「裸コート」で出かけるほどあたしだっておバカちゃンじゃない。ウルトラライトなダウンジャケットと、あったかジーンズ、インナーは上も下もヒー卜テックのゴクダンをばっちり着込ンできた。
 ポフッポフッ、とスノトレで雪を踏みしめながら、真っ白に降り積もった神社への雪道を歩く。
 ……アッ、曇り空から雪がちらほら舞い降りてきた。裸で歩くのはもちろン大変だけど、見てるほうも大変。
 お詣りが始まるのは午後二時からだから、まだそンなに見物人がいるわけじゃない。だけど、いくつかの家の前には水が張られたバケツが何個か用意されている。あの裸祭りサイトによると、景気付けだかなンだかでおミコシを担いでいる裸男達にお水をぶっかけるンだって。でも、今から出しておかなくてもいいのに。マジでお水も人も凍っちゃうンじゃないかしらン。
 今日のあたしの予定は、なにはともあれ着替え中の裸男達をスマホで激写、その後は沿道からお詣りの見物&引き続き撮影。むンむンむれむれの裸男達を生で見れば、きっと執筆のインスピレーションも湧くと思うの。
 本当はちゃンとしたカメラで撮影したかったンだけど、二、三日前までは確かにタンスの中にあったはずなのに、今朝はいくら探しても見つからなかった。あたしのウチって時々こういうことがある。ミステリーね。
 男達の着替え場所がどこなのかは知らないけど、とりあえず神社に行けばわかるかしらン。もし着替え中の撮影を断られたとしても、見るだけなら構わないわよね。こういう時(性別上)同じ男でよかった、って思うわ。
 だンだンと道が細くなって車一台ぐらいしか通れなくなった細い道を、道案内の看板に沿ってしばらく歩いてると、突然小さな神社が現れたンです。
 だけど、神社の職員? の人はいるみたいだけど肝心の裸男達の姿がない。どういうこと?
 あたしちょっと心配になってきて、その白衣と紫の袴を着たオジいさンに聞いてみたンです。そしたら、
「集合場所はここでねえど(ないぞ)」
 って言うンです。
 要するに、裸男達は村の中心部の公民館から一方通行でこの神社に歩いてくるので、スタート地点もその公民館らしいンです。
 ガーン。
 あたし泣きそうになりながら、ここから一キロほど離れた公民館に引き返していったンです。
 降りしきる雪で頭の上が真っ白になったころ、ようやく公民館に到着した。そこではお庭に太鼓やお供え物が準備されていて見物人がごよごよと集まっていました。人一人入れそうな大きな樽が五、六個おかれてるのがちょっと気になったけど。
 お囃子の太鼓や笛を持った村の人や、村のハッピを着たお世話係のオジさンたち、それからふンどしを締めた裸男の姿がちらほら見られる。お詣りに参加する殿方達の後に続いて、あたしも公民館に入って行った。
 玄関から上がってすぐに大広間なンだけど、あたしギョッとしちゃった。
 あっちを見てもこっちを見ても殿方の裸・裸・裸。年代は三十代ぐらいの殿方が中心で、下はお子様から上はオジいちゃンまで。ゴザの上でそれぞれのスペースを陣取ってふンどしを締めたり、村の人たちに締められたりしてる。当然一度全部モロ出しにしてから、ふンどしを付ける訳だけど、下の毛がボーボーすぎて完全にはみ出ちゃったり、お腹にさらしを巻いてもらうためにバンザイして脇の毛を丸出しにしている殿方もいる。
 殿方が裸になるのは銭湯で見慣れてるけど、それにふンどしを一本しめるだけで、ものすごくそそるンです。
 あたしカーッとなっちゃって、スマホを出すの忘れてじーっと見入ってた。
 そこへハッピオジさンの一人がやってきて、
「そろそろお詣りが始まるからおめえも裸になれ」
 ってあたしに言ッたンです。
 いやあたしこの村の人じゃないし、そもそもお詣りに申し込みしてないし。
「もう何年も前から村の参加者いなくなってまって、今は男だったら誰でも参加できるようになったべ。わざわざ東京から来てる奴もいるしのう」
 確かに耳を澄ましてみると標準語で喋ってる人が多いけど。
 いやいやでもあたしふンどしなンて持ってないし締め方も分からないし。
「でぇじょうぶだぁ、予備のふんどしがあるし、村の衆が手取り足取り締め方教えてくれるはンでの(からな)」
 いやいやいやでもあたし生まれつき虚弱体質だし、こンな寒空で裸になっちゃったら、軽く死ぬしッ。
 あたし、さンざン抵抗して逃げ出そうとしたら、誰かに後ろからがっしりと肩を捕まれた。オジさンのとンでもなくぶっとい腕で押さえつけられて、身動きできなくなったあたしのすぐ耳元で、
「終わったら温泉入って、メシ食って、そのあと、野郎同士でくンずほぐれつのヤリ放題だぜぇ」
 ダミ声の低音がねっとりと絡み付くように囁いてきた。むわン、とタバコと体臭の入り混じったオヤジ臭いニオイがあたしの鼻をくすぐる。
 あたし振り向いてオジさンの顔を見ると、口元を囲い込むようにぐるりとヒゲを蓄えたその強面の人は、スケベそうな顔でニヤニヤと笑ってた。上は「TAKU」なンとかって書いてある黒いトレーナーを来てるンだけど、下は……何も履いてない。毛むくじゃらで太腿の筋肉がパンパンに張っててちょっと短い足と同様の、太短いソレがボロン、とぶら下がってる。
 もしかしたらこのオジさンも「お仲間」なのかしらン。
 目を皿のように見開いて、オジさンのムスコを凝視しているあたしにダメを押すように、
「見てぇンだろ? 俺たちと一緒に裸になりてぇンだろう? おめえも自分に正直になっちまえよぉ」
 すっごくいやらしく、畳み掛けてきた。
 あたし、思わずジュン、って……。
 気が付くとあたし、オジさンに素っ裸にされて、ふンどしを穿かされていたンです。
 
    ♥
 
 午後二時。
 神主さン(さっきあたしが話を聴いたオジいさンだった)の祝詞の後に太鼓とお囃子が鳴り響き、一気にお祭りっぽいムード。
 この頃になると地吹雪がさらにひどくなってきて、遠くの山並みはもちろン、数メートル先まで見えなくなってきた。
 ハチマキを締めて、足袋とわらじを履かされた裸男のあたしたちは、お供え物をここから神社に運ぶという役割を、ハッピオジさンたちから仰せつかったンだけど。
 容赦なくビュービューと吹き付ける吹雪に、あたしはガタガタ震えながら自分で自分をぎゅっと抱きしめていた。
 さっきの「お仲間オジさン」は、平気な顔で腕組みをしてハッピオジさンの話を聞いていた。お腹は年齢なりに出てるけど、筋肉がものすごい。濃い体毛が分厚い胸板とふくよかなお腹を覆ってて、ホント人間に擬態した熊かゴリラかって感じだわ。
「それだばまずはこの水でみそぎを始めてけれ」
 えっ、ハッピオジさン今なンて言ったの。
 あたしが疑問を感じる間もなく、裸男達は次々と水を張った大樽の中に飛び込ンで行った。
 ちょっ……信じられない! 
 ドン引きしているあたしの腕を、ハッピオジさンズが二人がかりでぐいぐいと引っ張ってくる。
「ほれっ、テレビさええとこ見せてやれっ」
 腰が引けて泣きそうになっているあたしを、テレビカメラが狙ってる樽の前まで押し出したンです。
 絶体絶命! もう帰るあたし!!
「男だべや、さっさと入っちまえっ」
 男じゃなくていいッ!!
 オジさン達の手を無理やり振りほどいて逃げようとしたあたしの目に、さっきのクマオジさンの姿が映った。
 オジさン、ニヤニヤ笑いながら、あたしに向かって、右手の中指を、左手で作った筒の中にズコズコと出し入れしてるンです。
 ――あっ、これって……。
(終わったら温泉入って、メシ食って、そのあと、野郎同士でくンずほぐれつのヤリ放題だぜぇ)
 のことかしらン。
 このオジさンどうもウサン臭いし、まさかそンなことあるわけないじゃない、ッて思うンだけど、少なくともこのオジさンが「お仲間」なのは間違いないようだし……。
 そして、すっごくいい男だし……。
 五秒考えて覚悟を決めたあたし、樽の中にえいや、って飛び込ンだンです。
 ――アッ、すごい……。
 身を切るような氷水の冷たさが、体の奥までズーンと感じて……。
 あたし思わず(天国に)イッちゃいそうになったンです……。
 だけど、テレビに使われないように、カメラに向かって中指と手の筒をズコズコさせるのを忘れなかった。
 
   ♥
 
 裸男の体が完全に冷え切ったところで、いよいよお詣りが始まった。
 あたしたちは何人かにグループ分けされて、神社にお供えする鏡餅やしめ縄、おミコシを運ぶことになった。あたし、重い物系は断固拒否して御神酒の一升瓶を持つことにした――
 かったンだけど、ハッピオジさンに「それは子供の役目だべ」、と言われて、泣く泣く諦めたンです。その間に他の裸男たちの担当は決まっていて、残ったのは一番重そうなおミコシだけだったンです。
「おいおい人生終わったような顔してンじゃねえよ」
 クマさン(とりあえずの仮名)と同じおミコシグループだったのは不幸中の幸い、と言えばいいのかしらン。
「終わったら……な」
 クマさンに太い腕を肩に回されて、寒いのに顔がぼーっと熱くなった。
 筋肉男のクマさン以外には巨デブ小デブの裸男達が一緒のグループだから、まあ大丈夫よね、って高をくくってたンだけど、
「せーの、よいしょーっ」
 ――あっ……。
 重い。
 すっごく、食い込むンです。肩に。
 そのまま神社に向かって歩き始めたンだけど、脚がまっすぐ進まなくて、あっち行ったりこっち行ったりするンです。
 雪はさらに激しさを増して、目の中に雪が吹き込ンできて、とても目を開けていられない。全身に鳥肌が立って、奥歯がカチカチと鳴りっぱなし。
 それでも、前にいるクマさンをチラチラと見ると、毛むくじゃらでおっきいお尻を振りながら、威勢よくおミコシをかついでる。他の裸男達は(巨デブを除いて)みンな痩せ我慢のこわばった表情をしていたり、背中を丸めたりしてるンだけど。クマさンよく平気ね。
 おミコシの後を、お囃子隊がくっついてくる。
 神社に到着するまでの間、あたしテレビ局や一般人のカメラに映らないようずっと顔を下げて、極端な内股で歩いてたら――
 バシャーッ
 ――あっ……ぁぁぁ、ンンっ!
 いきなりぶっかけられたンです。沿道の見物人から冷たい水を。
 その後もあたし、何回も見物人から(水を)ぶっかけられて、ピクッピクッと体を震わせながらすすり泣いていたンです……。
 
    ♥
 
 それから、一日が経ちました。
 ……ハックション!
 家に帰ってきてからもくしゃみが止まらない。
 もしかしたら風邪、引いちゃったのかしらン。
 今日はあったかくして一日おとなしくしてなきゃ。
 
 ――え?
 
「クマさン」や「くンずほぐれつ」は、どうなったンだ、って?
 そうよね。みんな、あたしの体調よりもそっちのほうがダンゼン気になるわよね。
 だけど、ツイッターアンケートに協力してくれなかった人に、ホイホイおいしいところ見せるほどあたし、お人好しじゃないンです。
 
 というわけで、この話はここで終わっちゃいます。
 ごきげンよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 というのも、ちょっと大人げないわね。
 それじゃあ、この先は読みたい人だけ読めばいいと思うの。
 これまでの旅行日記と同じく、この続きは限定公開にして、パスワードはこの下の拍手ボタンを押せば表示されることにするわ。
 
 面白くなかったとしても、金返せ、なンて言わないでね。
 最初から一円もいただいてないし。
 
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 続きも公開しましたので、そのままご覧ください。(2017.7.25)


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