小説『むンむンぬれぬれ ~ハダカで潜入取材♡ の巻~』のつづき

2017年04月01日 00:01

 じゃあ、続き書きます。(前半はこちら
 


 裸詣りが終わって、すでに神社に届けられていた服と荷物を持ったあたしたちは、裸男達専用に開放された、神社の近くの温泉に案内された。お湯から上がった後は、近くの集会所で料理が振る舞われるって事になってるンです。
 脱衣所でふンどしを解いて、生まれたままの姿になったあたしたちは、熱いお湯につかってやっと一息ついた。
 クマさンもあたしの隣で、ヒゲもじゃの怖そうな顔を緩めてお湯に浸かってる。褐色のにごり湯だから首から下が見えないのが残念ね。
 オジさン寒くなかったンですか、ってあたしが訊くと、
「若い頃から、冬でも外でよく素っ裸になってたからなぁ」
 って、平然と答えたンです。
 ……一体このオジさン何者なのかしら。
 湯船から出たクマさンは、桶に汲んだお湯を二、三回、仁王様みたいなゴツい体にかけてから、もう洗い場を出て行った。
(……えっ)
 あたしはもっとお湯に浸かってたかったけど、急いで体を洗ってオジさンの後を追って脱衣所に戻った。
 クマさンは、黒のトレーナーと作業ズボンを身につけていた。
「なんだ、おめえも上がったのか」
「ご自由にお使いください」と張り紙してある、洗面台の脇に積み上がったタオルでバタバタと体を拭いてるあたしを面白そうに眺めてからクマさンは、ふらりと男湯を出て行った。
 体に残った水滴を拭ききれないまま、超特急で服を着たあたしは、クマさンの後を追って男湯を出た。玄関にはクマさンはいなかった。
 靴箱から出したスノトレを履いて、あたし、急いで玄関を出た。辺りを見回すと、集会所とは反対側の道路を、トレーナー姿のオジさンがのしのし歩いている。
 あたし、つンのめりながらクマさンに走りよって、もう帰っちゃうですかっ、って尋ねた。
「ああ、これから仕事でなぁ」
 そして、クマさンはイタズラ小僧みたいな表情を浮かべると、
「田舎男たちのチンポ見たら、もうここにゃ用はねえしよぉ」
 ぐひひ、とスケベったらしい顔で笑った。
 あ、あのぉ、アレは……とあたし、右手の中指と左手の筒でズコズコと例のポーズを見せると、クマさン、ちょっと困った顔になって、
「ま、まぁ適当に楽しンでくれや」
 とだけ言った。それから一度あたしに背を向けかけて、「そうそう忘れとった」ともう一度振り返って、
「『あいつ』からおめえに伝言を預かっとる」
 伝言?
 あたしが首をかしげてると、クマさンは突然声を張り上げて、
「いつまでもグチグチしとらんで、さっさと俺たちの話の続きを書かんかっ」
 だとよ、と、ニッとむさ苦しい笑みを見せた。
「じゃあな」
 オジさンはそのまま雪道を一人で歩いて行った。
「あいつ」が誰なのか言わないまま。
 
 その後のことはちゃちゃっと話すわね。
 集会所で振る舞われたお料理とお酒をあたしたちはご馳走になったンだけど、だンだンと酔いが回ってきて一人、また一人と服を脱ぎ始めて、そして……始まったの。
 
 ――「はっけよーい、のこった!」
 
 ……そう、お相撲が。
 とはいってもみンな酔っ払ってるから、お相撲を取っているンだか、抱き合ってるンだか、なンだかわかンないグダグダな状況になってしまった。
 それを「くンずほぐれつ」といえば、そうなのかもしれないけど……。
 
   ♥
 
 年が明けて元旦の朝。
 パパはまた朝からどこかに出かけて行って、他の家族はデパートの初売りに出かけて行って、今家に誰もいないンです。
 リビングであたし、年末年始に撮りためたニュース番組のチェックをしていた。もちろン、各地域の裸祭りの話題目当て。
 さすがに家族の前で裸男チェックをするわけにもいかないので、去年のお詣りからずっと見られないでいたンです。
 今日のニュースからさかのぼって裸祭りのチェックをしていく。
 ついてだからパパの部屋からパソコンを借りて、テレビで録画ニュースを流しながら、「裸祭り探訪記」のフォトギャラリーを眺めていたンです。
 あたしのパソコンは未だにVi●ta。反応がいろいろとアレでイライラすることが多いので、パパが留守にしてる時はこっそり借りることあるンです。
 ギャラリーには、こないだの裸詣りの写真もアップされてた。着替え中の裸男達の写真から、お詣り中の写真まで、簡単な説明を添えて掲載されてる。いつものように胸毛やお尻のアップ、ふンどしのもっこりの写真が多くて目の保養になるわ。
 あたしは目を皿のようにして、あたしとあのクマさンが写ってる写真があるかどうか探した。あたしが写ってる写真は何枚かあったンだけど、全部カメラに背を向けていたり、顔が見切れてたりと、まともに写ってる写真は一枚もなかった。もちろンそのほうがいいンだけど。
 クマさンに至っては、どの写真にも一切痕跡すらなかった。
 ――まさか、幽霊?
 じゃないわよね、ちょっと短いけど足もあったし。
 ただ偶然なのかなンなのか分からないンだけど、あのお詣りの日にあたしの小説が久々にキン●ルで一部売れてたンです。
『琢蔵の純情』が。
 あたし、無意識のうちに、キン●ルの管理画面をもう一度確認しようとして、つい、パパのパソコンのブックマークを押した。
「……あ」
 それを見て、一瞬あたし、自分のパソコンと勘違いしたンです。
 だって「お気に入り」にずらりと並ぶサイト、あたしがよく閲覧する、殿方好きの殿方のためのアダルトなサイトとかなりかぶっていたンです。
 あたしの心臓、ドキン、ドキンと鳴り始めた。
 いけない事だとはわかっていても、あたしの指は次にピクチャフォルダをクリックしていた。
 そこには各地の裸祭りの名前が書かれたフォルダがずらりと並ンでいた。
 ――「裸祭り探訪記」に載っていた祭りと、全部同じ。
 あたしの指は自動的に、この前参加した裸詣りのフォルダを探し当てて、クリックする。
 そこには今、あたしが「裸祭り探訪記」で見たのと全く同じ写真が保存されていた。ただ、パパのパソコンのフォルダには、あたしが半泣きの顔でおミコシをかついでる写真が何枚かあった。
 ボーゼンとしているあたしの耳に、いつも見ているローカルニュースの女子アナの声が入った。
 ――『それでは続いて地域の話題です。昨日、裸男達が村を練り歩く恒例の伝統行事が行われました』
 画面ではふンどし姿の男たちが次々と樽に張った水の中に入っていく映像が映し出されていた。
『寒くないですか』
『いやぁ、丁度いいです』
 リポーターの質問に、肩まで水に浸かっている、あたしと一緒におミコシを担いだ巨デブが涼しい顔で答えていた。
「ズコズコ」が効いたのか、あたしの映像は使われなかったみたい。
 裸男達の鳥肌のアップのあと、画面は地吹雪の中お供え物を担いで、神社まで歩く裸男達の行列を映した。あたし、結構前の方でおミコシを担いていたンだけど、カメラの位置からはちょうど死角になっていて、ラッキーなことに顔は写ってなかった。
 一分程度でニュースは終わり。
 巻き戻してもう一回見てみたけど、やっぱりクマさンの姿はどこにも写っていなかった。
 でもそれとは別に、あたし、この映像にどこか違和感を覚えたンです。
 もう一回お詣りのシーンから、裸男以外の部分をじっくりと眺めてみる。
 裸男達に水をぶっかける見物人たち。
 男たちを撮影する素人カメラマン。
 その中にひときわ熱心に、裸男達に、見覚えのあるカメラを向けている、初老男性がいたンです。
 ――あれ、もしかしてこの人……。
 
 パパ?
 
 
 (終わり)


※この物語は、何から何までフィクションです♡


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