飛田流反省会 ~『クロイヌ』編~

2016年07月31日 15:28

 拙作『クロイヌ』を販売開始して十日余り。

 そろそろ
 売上も落ち着いてきたので、
 反省会など。


 ちなみに、前回、『ヤリてぇぇっっっ!!!』編で、

 販売当日の出足は正直鈍かったのですが、その後ぽつりぽつりと売れ始め、
 前々作の『僕彼。』の総売上を軽ーく超えました。
 おそらくそのうち前作の『他言無用!(前篇)』の総売上も超えるでしょう。


 と書いておきながら、この記事をブログにアップした直後に

 売上がぱったりと止まり

 結局、いまだに

 総売上を超えていない

 現実。



 しかし


 今回は違うッ!!!!


 ツイッターでもお知らせしたように今回は過去最高の出だしで、デジケ24Hランキングに最高五位に入らせていただきました。
 本当にありがとうございます。でも王冠は付かない。


 このように、『クロイヌ』は、短期間のうちに最も売れた作品となります。
 ご購入いただいた方、本当にありがとうございました。


 にしても、今回の『クロイヌ』
 出す前は正直売り上げをあきらめていたんです。
 完全新作と言うわけでもないし、
 特別作者の知名度が高まったわけでもない。


 いつも通りにPVを作り
 いつも通りにツイッターで宣伝をし
 いつも通りに前半をブログで公開し
 いつも通りの価格。


 なにか特別なことをしたわけでもない。


 ツイッターでアンケート実施しても無投票なのに
 ブログで先行公開した体験版にも一票しか拍手が入らなかったのに




 なーぜー……





 知りたい……。



 ではここで、読者アンケートを実施してみましょう。



 えー、ご存知の方はご存知のように、現在ツイッターアンケートは無期限で休止しております。

 ですが
 だから
 なので

 今回はブログアンケートでございます。

 1984イクわよっ!!!


『クロイヌ』をご購入された方(あるいはこれから買おうと思っていらっしゃる方)に伺います。








 どですかねー。
 回答来ますかねー。


 回答がもしあったら、その結果をさらに分析するかもしれない。


 回答が無かったら……。




 アンケート自体無かったことにする




 ところで、以前飛田流、こんなことを書いていましたわね。

> エロ少な目でも売れるようになったら、その時こそ「祝勝会」を開きたい。

 しかし、今回もあくまで
「反省会」であり
「祝勝会」ではない。



 と い う の も


 売り上げ好調(当社比)なのはあくまでデジケに限った話であり、
 その他のショップ(キンドルなど)はそれほどでもないから。あと王冠も付いていない。
 ショップによって得手不得手というか、顧客層も異なるゆえのなのだろうか。
 アイドルでたとえるならば


 デジケはご当地アイドル
 キンドルはA●Bの研究生



 みたいな。(独断と偏見)



 デジケは発売時に華々しくスポットを当ててくれるし、同人に特化しているので、プロ作家たちの中に埋もれるということも無い。
 けれども、やっぱ「おかず」というか「ヌキネタ」になるモノが強いかなぁ……。
 そして、販売直後をピークとして、売り上げが盛り返すことはほぼ無い。

 一方キンドルは、発売時に特に宣伝をしてくれるわけでもなく(お金を出せば別)、ぬるっと出てそのままぬるぬる販売される。

 とはいえ、あまぞんである。その販売・集客力はご存知の通り。
 たとえば、販売から数年経っても、ぽつりぽつりとまとまって売れることがあるし。
(おそらくツイッター宣伝のRT効果。ありがとうございます)

 
 他にBOOTHなどは、販売手数料(一作売れるごとにショップに支払うお金)が安いので、価格を安くできる。

 このように、各社それぞれ良いところがあるので、様々なショップに登録している。

 ただ

 売れにくいショップでは、 ど う や っ て も 売れにくい


 そうさね……

 もし、「祝勝会」をするとしたら、

 エロに特化した内容でなく
 各ショップでまんべんなく売れて
 デジケランキングで王冠、ないしはキンドルランキングでベスト3に入ったら



 入ったら


 入ったら


 入ったら





 ありがとうございましたッ!!!!



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 [飛田流] の【クロイヌ】
 デジケットで【クロイヌ】のダウンロード購入

 

時をかけるおっさん

2016年07月19日 00:00

 こんばんは。
 小説を書いて売って、小銭をいただいている人です。




 さてさて、昨日から今日にかけて、拙作『クロイヌ』を販売させていただいていたわけですが、もう読んでいただけたでしょうか。

 せめて体験版だけでも。


 あらためて告知。

 ■作品名
 クロイヌ


 ■内容
 人気イケメンタレント富沢駿には表沙汰にできないゲイの性的志向があった。これまでは、マネージャーが秘密裏に集めたウリ専(男性同性愛者向け風俗店)の美青年たちに駿の欲望処理をさせていたが、美しすぎる彼らに、駿はどこか物足りなさも感じていた。
 そんな時、バラエティー番組のアルバイトスタッフ・黒井が駿の目に留まり、駿が月に一度「パーティー」を開くホテルのスイートルームに呼び出して裸にした。黒井の予想以上に張りのある筋肉と巨大な逸物を目にした駿は、即座にその体に夢中になる。
 だが、黒井には、「別の目的」があった……。

 飛田流初期短編作品。

 ■本文枚数
 約67枚(400字詰め原稿用紙換算)

 ■作品ファイル形式
 html・pdf・epubファイルの3種類(内容はすべて同じです)
 ※kindleは除きます。(システム上同梱不可)

 ■発売開始日
 7月18日にBOOTH、7月19日にデジケット・アマゾンkindleストアなどから順次発売予定

 ■価格
 BOOTH 200円

 それ以外の同人ダウンロードショップ 300円
 デジケット DLsite.com アマゾンkindleストア

※ショップによって、消費税の有無が違いますのでご注意ください。


 作品内容になにか不手際がございましたら、ご面倒でもコメント欄・ツイッター・メールフォームなどからご連絡いただければ幸いです。(ダウンロードした作品の圧縮ファイルが解凍できない等、システム上のトラブルの場合は、まず各ダウンロードショップのヘルプページをご覧ください)



 告知終わり。




 と、新作(正確には旧作のリメイク)を出したばっかりで何ですが、

 最近「やめどき」についてちらっと考えてみたりします。
「やめる」とは、ツイッター・ブログなどSNSだったり、小説の執筆だったり。

 ナンカマタ、ハジマッタポイデスヨ……。



 現在実際にやめているのはツイッターアンケート。
 アンケートを実施しても、無投票が続く現状ではね……。(涙)

 もう、俺の存在誰も知らねんじゃね?

 と大人げなくすねたりもするが、よく考えてみたら、
 もともと閲覧者も少ないうえに、
 答えにくい質問ばかりで、

 こりゃ無回答も当たり前だわなー、と今になって思う。


 ツイッターは以前よりさらに閲覧者数が減ったので、

 ……そろそろ?

 と思ったが、今すぐやめるということはないだろう。つぶやくのはそんなに面倒でもないし。
 今のところはね。





 知ってる人は知っての通り、知らない人は知らないように、僕は自分のツイッターでどなたもフォローしていない。
 ただ、

「自分がフォローしない=フォローされるのお断り」

 ということではありません。
 どなた様もウェルカムです。よっぽどアレな感じでない限りは。
 あと、「フォローしていない=相手のツイッターを見ていない」というわけでもありません。

 見 て る よ 。 全員じゃないけど。


 とは言え、自分がフォロー0なのに、フォローを強くお願いすることもできないので、現在のところフォロワー数52名様。
 けっして多くはない。



 なら、なんで誰もフォローしないの、と思われるかもしれません。
 これは今までにも何度か説明しているのですが、大きな理由は二つ。

・ツイッターをいつやめるかわからないので積極的にフォロワーを増やしたくない
・リムーブすることを重く受け止める方もおられるので、最初からフォローしない


 もう一つ付け加えるなら

・フォロワーとの会話が超苦手

 そりゃあ僕だって、好みのフォロワーさんとキャッキャウフフしたい。
 したいけど、湿原失言が怖くて……。

 失言は


 する


 必ず。

 過去の経験上。



 そもそも、

 いつネットそのものから姿を消すかもわからない

 ということもある。





 小説のやめどきは、単純明快。

 まったく売れなくなったらやめる

 ことにしている。


 以前、誰にも読まれなくなったら天に向けて書く、と言ったが、さすがに誰にも読まれないものを書いても意味がないだろうし。

 だが、困ったことにというか、ありがたいことにというか、
 断筆を考えるほど売れていないわけでもない。

 時々ツイッター広告ではしゃいでお知らせしているように、ランキング入りすることもたまーーーーーーーーーーーにだがある。

 しかし、あくまでたまーーーーーーーーーーーになのと、世界のきんどるさんは手数料も最凶最強なので、子供の小遣い程度しか僕の懐には入らない。

 ただ、僕のように、ほぼ無名の人間が書いたものをわざわざお金を出して読んで下さるということはただただ感謝。



 ところで。

 うちのサイトには解析機能が仕込んであって、管理画面を見ると、一日の来訪者数や、どの単語を検索してうちのサイトを訪れたか、がわかる仕組みになっている。

 検索ワードは、「飛田流」で来られることはめったになく、検索者の性癖(?)とおぼしき言葉が並ぶ。
 最近見ていなかったのだが、先日久しぶりに見たら、こんな言葉が。


 クロイヌ ゲイ


 ……ちょっ!!


 これ明らかに僕の小説のことだよね?!

 初めて掲載されたのは2007年だからほぼ10年前だよ!

 まだ覚えている人がいるなんて……。



 もともと、『クロイヌ』は、初掲載されたゲイ向けサイトが放置更新停止されてから閉鎖されるまで

 ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと

 晒されそのままになっていた。


 そのため、飛田流の作品の中ではもっとも多くの人の目に触れたと思われる。


 と は 言 え


 もう、あれから九年だよ……。



 飛田流のことは忘れても、『クロイヌ』のことは忘れてくれていなかった


 のかしら。


(……ジーン)




 ズダダダダダダダダダダダ!! (←機関銃を打つ音)




 カ・ン・ガ・イ……。(感慨)



 九年の時をこえて、駿や黒井がふたたび皆さまの目の前に。
 今書くとこういった感じになる……のかなぁ。
 キャラは歳を取らないけど、時代に合わせてスマホとかスカイツリーとか、それっぽいものが登場。

 ちなみに、初掲載時の二倍以上の分量になっております。


 今回は、はて……。
 いつものように苦戦するのだろうか。




 王冠が付くほど馬鹿売れしているわけではない。
 だけど、廃業? を考えるほど売れてないわけでもない。



 というわけで、ツイッターも小説もやめるのはもうちょっと先になりそう




 かもね。

 約束はしないけど。





 こんな私ですが、作品のほうはどうぞよろしくお願いいたします。

 ぺこり。



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小説『クロイヌ』 体験版

2016年07月11日 20:53

 こんばんは、アンケートを実施しても一票も入らない
 飛田流です。


 そんなことはどうでもいい。 (※前にもこのネタやってた)


 前々から予告していたように、拙作『クロイヌ』を今月中に発売予定なのですが、その冒頭部分を「体験版」として独自に先行公開させていただきます。(アマゾンキンドルのサンプル版よりも分量が多いです)

 これまでは、分割で、あるいは販売と同日にまとめて公開していたのですが、今回は、販売前にまとめて一括で公開させていただきます。さっきシャワー浴びている時に急に思いついた。

 なお、初めて有料ゲイ向けサイトに掲載された内容に、大幅に修正・加筆しております。

 実際に販売する本編とは異なる箇所があるかもしれません。あらかじめご了承ください。



 それでは、ごゆっくりお楽しみください。


 *******


小説『クロイヌ』 体験版

 来年正月放送分のバラエティー特番の収録を夜十時に終えた富沢駿とみさわしゅんは、世田谷のスタジオを出てすぐにマネージャー瀬戸が運転するベンツに乗り込んだ。
 首都高速を通って三十分後、外資系高級ホテルに到着した車から降り立った二人は、従業員兼用のエレベーターでホテル最上階のスイートルームエリアに直行し、そのうちの一室に入った。百平方メートルはある広々とした部屋に置かれた、選び抜かれた趣味のいい家具、名だたる画家の筆による絵画など、数々の逸品が駿を出迎える。前回の宿泊時よりも、さらに量と華やかさを増したフラワーアレンジメントが隅々にまで生けられていた。
 駿が月に一度、ひとときの快楽を過ごすために――より即物的に言えば「性欲処理」のために、事務所から用意されたこの部屋に入るたび、二十九歳になった現在でも、自分のタレントとしてのランクはまだそれなりに高い位置にあることを実感し、安堵する。
 壁一面の窓の向こうでは、ビルのネオンとスカイツリーが光を競い合う。
 駿の目の前のテーブルには、表面に露が浮いた銀色のクーラーに突っ込まれたハーフボトルのシャンパンと、大皿に切り分けられた色とりどりのフルーツが並んでいる。だが、今日用意された「スイーツ」はそれだけではない。
 少し離れた場所のテーブルで、アンティークの趣のある椅子に座っていた二十代前半ほどの三人の男たちが、駿に軽く会釈する。裸にガウンを羽織った、この美しい青年たちが、駿に与えられたもっとも甘美な今夜の「ごちそう」だ。
 駿がレザーのチェスターコートを半分脱いだところで、ガウン姿の男たちのうち、長身の青年がすっと立ち上がり、駿からコートを受け取った。
 彼がクローゼットへ向かったと同時に、駿はすぐさまソファーに両脚を投げ出すようにして横たわる。柔らかで適度な張りのあるクッションが、駿の身体を半拍遅れて受け止めた。

「『あいつ』はまだ来ねえの」
 窓際でスマートフォンに目を通していた瀬戸に、駿は体を半分起こし、いらだちを交えて問う。

「収録の後、タクシーでこっちに向かわせたから、もうすぐ来るんじゃないか」
 目的は伏せてな、と瀬戸は薄い唇の端だけを軽く歪めた。クリスマスカラーのスカイツリーを背に、紺のスーツを着た強面の瀬戸が立つ姿は、まるで極道映画の一場面だ。
 彼が駿の担当に付くようになって二年になるが、駿の知らない所では、もっとえげつない仕事もこなしているのだろう。
 ノックの音がした。
 瀬戸は客室扉に近づき、スコープで確認してから、チェーンを外した。
 寝そべりながら駿がその様子を見ていると、廊下から三十代前半ほどの男がぎこちない足取りで入ってきた。図体は大きいが、軽く背を丸めた前屈みの姿勢は、見るからに小心者といった印象だ。
 ぼさぼさの髪、脂が浮いた顔を覆う濃い無精ひげ、履き古して薄汚れただぼだぼのジーンズとスニーカー、駿が一時間ほど前まで出演していた番組の名前が背中に大きく書かれた、ぺらぺらのスタッフジャンパー――と、あまりにも場違いな格好の男は、部屋のどの位置に立てばいいのか迷ったあげくに、駿からかなり離れた壁ぎわで立ちすくんだ。
 半裸の男たちを目にして脅えた顔を引きつらせているこの男は、弱小番組制作会社から一か月ほど前に派遣された大道具担当のアルバイトで、名を黒井というらしい。風采の上がらなさは他のADとなんら変わらなかったが、身長百八十センチ前後ある瀬戸と変わらないほどの背の高さで、なおかつ肉体労働者並みに盛り上がった全身の筋肉は、一か月ほど前、黒井がスタジオで働き始めた当初から目を引いた。小汚い外見も嫌いではない。
 ともあれ、まずはその服の下をすべてご披露してもらうことにしよう。
 ソファーに横たわったまま、駿は長い脚を大きく持ち上げるようにして組んだ。

「早くシャワー浴びてこいよ。汗くせえんだよ、おまえ」
 黒井はぎょっとした表情を見せる。おそらく、彼を含めた世間一般が持っている「富沢駿」のイメージが大きく揺らいだのだろう。半分素人とは言え、裏方であるこの男に偽りの笑顔など振りまく必要もない。
 駿の「裏の顔」を知り、全身をがたがたと震わせた黒井は、定まらない視点をガウン姿の男たちにちらちらと向ける。男たちは冷笑を浮かべ、中には裾を軽くまくり、両腿の奥を見せつける者すらいた。
 血の気の引いた顔で固まったまま、一分以上瞬きを繰り返していた黒井は、

「わ、わがりました……」
 標準語とは明らかに違うイントネーションでぼそりと言い残すと、逃げるように浴室に向かおうとした。

「待て」
 駿に鋭い声で呼び戻され、電池が切れた玩具のごとく、黒井はドアの手前で止まる。

「ここで脱げよ、全部」
 無音のまま、えっ、と唇から発し、救いを求めるように瀬戸へ目を向けた。しかし、

「いいじゃないか、ここには我々男しかいないんだし」
 さもそれが当然であるかのように告げた。

「う、うう……」

「――『わがりました』、だよな、黒井クン」
 瀬戸は、ろう人形のように固まったままの黒井の言い回しを真似、声にどすを利かせた。
 退路を完全に断たれ、唇をかみしめた黒井は、震える指でジッパーをゆっくりと下ろす。金具を最後まで下げ、こわばった顔を心持ち上げたものの、駿、取り巻きの美青年たち、瀬戸のいずれもさげすんだ笑みを浮かべるだけで、誰も制止はしない。
 握った手で紅潮した顔を何度もこすった黒井は、表情を歪ませた末に、ぎくしゃくとジャンパーを脱ぎ、垢じみたよれよれのTシャツ姿となった。だが、その先どうすればいいのわからぬのか、服を手に固まっている。

「床にそのまま置いとけ。おまえの服よりはきれいだろ」
 駿の軽口に、黒井以外の男たちが失笑を漏らす。
 絶望感を滲ませた目を伏せて、黒井はジャンパーを床に置いた。許しを請うように、気弱な視線を駿に向ける。しかし、駿は仏頂面を崩さない。絶望をさらに深めた面持ちとなった黒井はもはや口答えもせず、のろのろとTシャツも脱いだ。
 そして、服の下に隠されていた彼の上半身があらわになった瞬間、薄笑いを浮かべていた男たちは息を飲み、真顔に変わった。それまで寝そべっていた駿もまた、面持ちを変えてソファーに座り直す。
 毛深い体毛は濃い無精ひげから簡単に想像できたことだが、大胸筋は驚くほど発達し、腹筋も見事に割れている。両胸の先端には持ち主の風貌とは対照的に、二つの乳首が誇らしげに飛び出していた。
 黒井は、自分を見つめる男たちの目つきが一変したのに戸惑ったのか、赤らめた顔をまた伏せると、色あせてくたびれたベルトを解き、ジーンズを床に降ろした。
 そこには、競輪選手に勝るとも劣らないほどの太さを持つ大腿筋からすねにかけて、上半身同様毛が濃密に茂っている。
 鍛え上げられたその筋肉はまるで古代ギリシアの裸像のようだが、自身はその毛深さを恥じているのか、情けなさそうな顔のままブリーフ一丁で身を縮こませるようにして立っていた。ただ、股間のぼってりとした膨らみは、中身が並以上のサイズであることを如実に示している。それを想像しただけで、鼓動と呼吸が急速に速くなっていくのを駿は感じていた。

「あのぉ……これも、脱ぐんすかぁ」

「当たり前だろ、おまえは風呂にパンツ履いたまま入んのか」
 それ以上何も言わずに黒井は固い動きで、ブリーフをゆっくり押し下げた。

「……!!
 取り巻きたちの息を飲む音がした。

「……でけえ」
 金色に近い茶髪の青年が半分呆れた顔つきで顎を落とし、口を丸くしている。
 黒井の股間には、大きな両手で前を押さえても、指の先から亀頭がはみ出してしまうほどの巨大な一物がぶら下がっていた。先端がずるりと剥け切っているのはともかく、ふてぶてしいまでの存在感といい、黒光りした色合いといい、名器の風格さえある。
 その場にいた誰もが言葉を失った。

「お、俺、体、あ、洗ってきますぅ……」
 ぼそぼそと言った黒井は背を丸めて、男たちの好色なまなざしを避けるようにそそくさと浴室に向かおうとした。
 がっしりとした筋肉で盛り上がった赤銅色の背中に、瀬戸が、おい、と声をかける。

「この汚い服をいつまでここに置いておくつもりだ」
 あっ、すいません……とぺこりと頭を下げ、床に脱いだ服を両手に抱えて黒井は浴室に消えた。

「さあ、君たちは隣の部屋で待機だ。しばらくしたら、『いつも通り』によろしく頼む。――そうそう、アイツは……ノンケ、っていうのか? だから、君たちがリードしてやってくれ」
 瀬戸の指示にうなずいた青年たちは、ぞろぞろと隣室に移動した。先程驚嘆の声を漏らした青年直哉なおやは、

「アイツのチンポ、すっげえデカかったっすよね。オレ、しゃぶるとあご外れんじゃねーかな」
 軽口を叩いてから、隣室に入った。一か月ほど前に入店したという彼は、初めての顔合わせから、以前より駿のファンだったとすり寄ってきた。頭の中身はいかにも軽そうだが、悪くない見た目から“夜伽よとぎ”の相手の一人に選んだ。
 直哉を含めた青年たちが在籍するのは、一般には一切宣伝をしていない会員制の高級ウリ専――男性同性愛者向けの風俗店で、芸能人や政治家、やんごとなき血筋の御曹司などが主に利用しているらしい。秘密厳守をうたうのは当然として、キャスト、つまり従業員ボーイも、顔・体型ともに最上級の人材のみ取り揃えているという。
 だが、厳重な口止めをもってしても、ある理由・・・・から、駿への「ゲイ疑惑」は常に付きまとっていた。
 駿が芸能界に入ったのは十代の半ば、現在の事務所が主催するミスターコンテストに応募し、特別賞に入賞したのがきっかけだった。公式のインタビューでは「偶然雑誌で募集広告を見かけて、ノリで応募した」と答えているが、裕福とは言えない母子家庭で育った駿は、実のところ野心のかたまりであった。
 父親が脱サラをして始めたスイーツの販売事業が、ブームの終息で二年も持たずに廃業となり、その際に生じた数千万の借金が元で、駿が十歳のとき両親は離婚した。スナック勤めで生活を支えた母は元夫の無謀さを事あるごとに非難し、駿にも堅実な人生設計を説いていた。そんな母が息子の芸能界入りなど許すはずもなく、芸能活動を許可しなかった高校を無断で中退したことも火に油を注ぎ、勘当に近い形で事務所の寮に入ることとなる。
 ゲイの噂が流れていた事務所の社長に自分から近づき抱かれたのは、それからすぐの春だった。効果はてきめんで、半年後の秋には女性アイドル映画の相手役に抜擢され、立て続けにドラマの主要な役柄に起用された。
 さらに翌年、初主演したサスペンス連続ドラマがヒットし、駿は人気俳優としての確固たる地位を手に入れることとなる。社長に費用を提供してもらい、整形に手を出したのもこの頃だ。野暮ったい印象の残る一重を二重にし、低い鼻筋もシリコンで整えた。
 以来、男であろうと女であろうと、富と権力を持つ人間とは誰とでもベッドを共にしてきた。中でも大手企業の社長からは特に気に入られ、デビューから六年目、大河ドラマへの出演が決まった年に、ベンツとタワーマンションの上層階の一室を買い与えられた。時を同じくして、母親が突然事務所に連絡をし、駿に金の無心を頻繁にするようになった。過去の発言を撤回するわけでもなく、家計の窮状を並べ立てるばかりの身勝手さには寒気に似た嫌悪を感じたが、下手にこじらせてはタレントとして命取りになる。事務所の顧問弁護士に依頼し、まとまった金を渡す代わりにマスコミの取材には一切応じないよう契約書を交わした。
 これらのスキャンダルは、事務所によってすべて揉み消されてきた。
 一部の週刊誌が、社長と所属タレントの「ゲイ疑惑」を初めとして、テレビ局・一部スポンサーとの癒着を批判するキャンペーンを繰り広げることもあるが、テレビ局はもちろん、スポーツ紙も右にならえと徹底的にそれを無視する。ドラマ・バラエティー・情報・ニュースとあらゆるジャンルの番組に多数の自社所属タレントを送り込み、彼ら抜きでは番組どころか経営から成り立たないほどの権力を持つ、巨大芸能事務所の闇をわざわざ晒すことは、マスコミの自死行為にも等しい。
 一方、長年の“夜の営業”は、月に二、三回尻にぶち込まれないと満足できない「副作用」を駿の体にもたらした。事務所も心得たもので、社長が後輩タレントに興味を移した頃合いを見計らって、駿の「そちら」の面倒も見てくれることとなった。もちろん、タレント管理の意味合いも大きいのだろうが。
 瀬戸が駿のために高級ウリ専から揃えた二十代初めの若者たちはみなとても美しい顔だちだった。とくに直哉に至っては、きわめて短期間だが、有名なタレント養成所に通っていたこともあるという。しかし、美しすぎる彼らに、セックスの相手として駿はどこか物足りなさも感じていた。
 駿と二人だけになった部屋で、瀬戸は笑った。

「シュンも物好きだな。俺には単に鈍臭い男にしか見えんが。――まあ、あのチンポのデカさにはちょっとビビったけどな」
 しかし、駿の視線が、自分でなく浴室に向けられていることに気づいたのか、

「まったく、ゲイの世界は俺にゃわからんよ」
 半分呆れたように言い残し、じゃあな、と廊下に出た。この男はこの男で、事務所の金を使って別室で女と「遊んで」いるらしいが、駿も同じ穴のムジナである以上、あえて追及するつもりはない。
 一人きりとなり、駿は久々に高まる心を抑えるように深呼吸をしてからソファーを立ち上がり、胸元のシャツのボタンを三個ほど外す。グレージュチノのパンツの下は、思わぬ「収穫」を目にした時からぎりぎりといきり勃っていた。
 二年前、共演がきっかけで「親密な関係」になった独身大物時代劇俳優から贈られたペンダントも取り外し、ジャケットのポケットに放り込んだ。レザーが外周を覆うシルバーリングをトップにしたそれは、大物俳優の箱根の別荘で抱かれた後に、脂性の大顔を近寄せて、「僕と駿の永遠の愛のあかしだよ」と臭い息を吐きながら差し出されたものだ。笑顔で受け取りながら、大物俳優の次の主演時代劇で、最後に彼自身が斬られることを強く願った。
 引き締まった胸板を大きくはだけた駿は、浴室のドアを静かに開けた。りガラスの向こうで黒井がシャワーを浴びる音がする。
 脱衣かごを覗き込むと、黒井が身につけていた服と下着が、丸めて入れてあった。ふと視線が釘付けになり、足が立ち止まる。汗と男の濃厚な臭いが鼻腔から体内に取り込まれるごとに、じんわりと頭の中が熱くなり、甘やかで生暖かい霧が身体の隅々にまで広がっていった。
 気が付くと駿はかごを覗き込んで、中に手を突っ込み、ブリーフをつまんで取り出していた。社会の窓の部分が黄ばんでいるのが生々しく、劣情をそそる。

「……」
 誰も見ていないことがわかっていても、タレントとしての習い性か、何度か辺りを確認してから、それを鼻先に近づけた。

「……ん、むぅ」
 なんとも言い様のない、汗と小便と陰部臭の入り交じった、きつい臭いだ。

(たまんねえ……野郎の脱ぎたてのくっせえ下着だ……)
 ペニスの先から、淫らな液体がじわりと染み出てくるのがわかる。
 駿は、空いた左手でズボンの膨らみを軽く撫でた。これまで肌を合わせたことのない雄臭い体が、まもなく自分のものになる。そう考えただけで心臓が激しくリズムを打ち始め、沸き立った血潮がぐるぐると全身を駆け巡っていった。
 ブリーフの雄臭を思う存分嗅ぎながら、駿はチノパンの股間を徐々に力を入れてこすり上げる。その下では、急速に血が集まった肉茎がさらに固さを増していた。

「おぉぉぉ……ふっ、ん、んんっ、ぁぁ、っ」
 体が震え、息が荒くなる。太腿の辺りから、肌を刺すように快感が込み上げてきた。
 臭気と妄想と、直接的な刺激で上り詰めかけたその時。
 気配を感じた。


(以下、本編につづく)


 無料体験版はここまでです。この続きは近日発売予定の本編でお楽しみください。

三十年前の青春

2016年07月04日 16:25

 昨日は月イチのスカパー無料デー。
 注目は二時間ドラマ『二+歳の祭り』
 ただし、ドラマの質が高い、という意味ではない。

 主演はおニャン子出身の河合ソノコさん。アイドル最盛期の主演だが、アイドルドラマではなく、シリアスな青春群像劇。しかし、演技は終始「おニャン子演技」
 今でいうAとKとBのグルーブに近いが、おニャン子の多くのメンバーにはプロ意識はあまり感じられなかった。

 30年前(!)の本放送も、一部だが観た記憶がある。
 ちなみに、当時は家庭用ビデオデッキが普及し始めた時期。うちにもビデオデッキはあったが、録画ではなくリアルタイムで観たと思う。
 河合さんの特別なファンというわけでもなかったから、たまたま目に入ったのだろう。



 あらすじ。
 俳優養成スクールと短大に通うヒロインは、これと言った目的も才能もないにもかかわらず、大学を辞めてしまう。特別に美人でもなく、歌や演技がうまいわけでもないが、なんやかんやあって最終的に……という話。


 アイドル主演にもかかわらず、ストーリーは子供向けどころか、社会の厳しさをリアルに描く話で、官能シーンもちょいちょい顔を出す。たとえば、ヒロインと同期の男が、劇の上演費用捻出のために、パトロンの有閑マダム(?)とヤるシーンとか(バストトップ露出&アエギ声あり)。
 また、当時はまだ「アダルトビデオ」という名前が定着していなかったのか、「ポルノビデオ」と呼ばれている。(ヒロインの友人がオーディションに応募)
 これらの記憶は無いが、家族で一緒に観たのなら気まずくなるはずなので、おそらく一人で見たのかも。

 言うまでもないが、河合さんはこれらのエロシーンからは厳重に隔離されている
 原田ヨシオさんとのキスシーンが一つあった。
 ただ、原田さんが仕掛けた「不意打ちキス」で、本当にキスしているかどうかは不明。
 さらに事後、河合さんは(露骨に嫌そうに)手の甲で自分の唇をゴシゴシ。


 河合さんの演技に不安があったことはスタッフも承知していたのか、多数のスクール同期を出す作戦を取っている。その中に杉本テッタ氏が。彼が(劇中では)一番演技が下手で途中脱落するという、皮肉な展開。



 河合さんは役柄通りというか、主演でありながら、淡々と(お嬢様的)演技をこなす。肝心のダンスシーンも……であり、したがって、ラストの展開はけっして納得いくものではない。





 ただ

 ただ



 視聴が僕の青春期と重なったためか、このドラマが「飛田流」を形成する要素の重要な一つになったことは間違いない。
 今でも、タイトルはもちろん、一部のシーンははっきりと覚えていたので。


 たとえば、スクールの同期の中に一人、女装のショーパブで働くゲイの男の子が登場する。
 彼の記憶は無いが、無意識のうちに潜在意識に擦り込まれたのかもしれない。



 多感な時期に見たもの・聞いたものって、その後の人生にかなりの影響を与えるんだね。



 時にそれはトラウマになり、
 時には心のよりどころになるっぽい。





 土曜日の


 実験室!



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悪人ばかり出てくる小説を書いた作家が、同じぐらいの悪人なのかどうなのかという話

2016年07月01日 16:18

 以前ツイッターでちょっと触れた、「作者本人と作品世界の関係性」の話について。

 あくまで「僕が考えるところ」、ね。




 僕は書く側であると同時に読む側でもあるので、純粋な読者の気持ちはわからないのだが、仮に、極悪人ばかりが出てくる話(極道物とか)があったとして、みなさんは作者自身も悪人と思われるだろうか。
 僕が読む側だったら、話の内容にはギョッとするかもしれないが、作者の方と同一視はしない。あくまで架空の話だし、作者と別物だということは本人(僕)もよくわかってるし。
 ただ、作者の素の文章にまでそんな話題が出てきたら、さすがに、


 ……


 とは思うけど。



 ツイッターでも書いたように、作者と作品キャラは別物なので、キャラがどれほど悪人であったり悪いことをしたとしても、作者とは一切関係が無い。(と思う)
 有名なたとえ話だが、もし作者と作品キャラが同一なら、推理小説の作者は犯罪者しかなれないことになる。
 また、作品中では、かなりエグいシーンをお書き(描き)になる創作者の方のツイッターが、意外に気さくで、面白文章であふれているのもよく見かける。


 僕自身で言えば、調教物のゲームのシナリオを書かせていただいたころ、ライター(僕)自身がそういうプレイが好きでしょうがなくて、担当することになった、と思っている人がおられたかもしれない。
 しかしながら、本人の性格は基本的に

 こう  ある。


 モラルのない人、いわゆる悪役を自作に登場させる場合は、「こんな悪いことをしたい」という欲望があって書くというよりは、「このストーリーだとこういう(悪役)キャラになるのかなぁ」という、一歩引いたポジションで書いている。
 ただ、その出所(でどころ)は確かに僕の頭の中なので、無意識のうちに僕の考え方というか「僕が考えるところの悪役」は出てしまうかもしれない。


 僕の場合は、悪役が中途半端だとストーリーが引き立たない気がするので、私情は交えず、悪いキャラの場合は容赦なく悪事をさせることが多い。
 もちろん、善人を書くのも同様で、「自分をそのまま出す」ということはほぼ無い。(善人ではないからということもあるけど)
 いずれにしても、別キャラだし。


 このシステム、説明が難しいのだが、

 僕の中に数人の「劇団員」がいて、それぞれが主人公・敵役・助力者・モブなどを演じている

 ……というとわかるだろうか。
 劇団員なので「別の人」設定ではありつつも、大元は同じ人なので、それを生み出した(作者)の個性が出てしまうというか。

 他の作者のことは知らないけど。




 一般の……つまり非創作者の方は、「小説って(実録物でない限り)ウソ書いてるんでしょ」と思われるかもしれない。
 それはそうなんだけど、むしろ、作者自身の言葉よりも創作のほうが真実を語っている場合もある。

 実際の人間関係では、嘘とまでは言わないけれど、社交辞令的な言葉は誰しも口にするだろうし(まれにしない人もいるけど)、言いたいことも胸の中にしまっておくということもよくある。
 しかし、これが創作だと、「あくまで別のキャラが言っていることです」という言い訳ができるので、作者が胸の内に普段しまっているコトを言わせるのも可能。
 だから、本人の言葉よりも創作のほうが、作者の本質が出ていることもままありうる。


 もちろん、作者も性格が良くて、作品内容も面白い、というのがベストだとは思うけど、僕の持論に、「聖人君子の書く創作は面白くない」というのがある。

 ぶっちゃけて言えば











 やめておこう。



 一方で、作家はそれこそ嘘をつくのが商売みたいなところがあるので、文章上で語られる本人のキャラと実像は、もしかしたら別かもしれない。

 もちろん僕も……。





 あまりピンと来ない人は、たとえば一つの方法として、何らかの創作をしてみる、のはいかがかと。
「生みの苦しみ」を味わってみると、作者側の気持ちが少しわかるかもしれない。
 さらには、それを発表してみるのもいいだろう。
 これまで叩いてばかりだった人が、逆の立場になると、叩かれる気持ちがわかるかもしれない。


 もちろん、大絶賛を受ける可能性もなきにしもあらずだが。





 どう?



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 ※情報ご提供ありがとうございました。


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