ここかと思えばまたまたあちら

2009年01月29日 12:45

 先日お知らせしたように、B's-LOGにて、『体育教師極』の特集が組まれたばかりですが、今度はCool-B誌で再び同ゲームの特集記事が掲載される模様。

 Cool-B 2009年3月号(VOL.24)
 発売日:2009年2月4日 (水曜日)
 定価:980円 (本体933円)

●極上BLみっしり特集!
 『体育教師 極』エフジー


 というわけで『体育教師』もみっしり特集していただけるようですので、ご興味のある方はぜひぜひご覧くださいませ。

 

かなりヤヴァイ。

2009年01月27日 11:22

破壊。

ガムテ補強。



 前々から、あちこちにガタが来ていた、うちのノートパソコンですが。(今どき記録メディアがフロッピーディスク&OSがWindows3.1)


 
かなりヤヴァイ。


 そろそろ本格的にヤヴァイ状況に。(写真は、突然エラーになったパソコンの画面)
 ひぃぃっ、まだ『体育教師極』のシナリオを書き上げていないのにっ!!


 マジでどーしよう……。

明日に架ける抜歯?

2009年01月26日 16:39

 実は一週間前に、歯医者で歯を抜いたのですが(もともと差し歯だった部分の土台の歯が悪化)、今日再診を受けてきました。

 治療方法としては、その部分をブリッジにするか、部分入れ歯にするか、の二種類があるとのこと。(保険適用外では、もっと別の治療方法もあると思いますが)
 ブリッジを簡単に説明すると、抜いた歯の前後の歯の全体を少し削って、義歯を上からかぶせる、という方法です。入れ歯とは違って、元の歯にそのままくっつけるので、治療後は特に違和感なく過ごせるとか。一般的には保険が利き、機能的にも良好ですが、一方で前後の健康な歯も削る必要があるデメリットもあります。
 部分入れ歯の場合は、ブリッジより治療期間が短く、前後の歯を削らなくてもいいそうですが、でも、「入れ歯」という言葉の響き・事実に個人的には少々ヘコんでしまいます。それにガムを噛むとくっついちゃいそうなイメージが。(あくまでイメージです)

 僕の場合、抜いた歯に隣接した奥歯が銀歯だし、そのうえ虫歯になりかけているということなので、ブリッジを選択しようと思ってます。


 で、次の治療は二週間後。
 早いとこ治したいのですが、まずは抜歯の跡が癒えてからでないとだめなんだとか。ご飯を食べると、ちょうどこの「クレーター」に米粒がすっぽり埋まっちゃうんだよね……(涙)。

 今はただとにかく、傷が癒えるのを待つのみ。

エロ小説書きとしての生き方 (5)

2009年01月24日 20:25

 そして、最後に、個人としての抱負です。

 去年のクリスマスイブに、元タレントの飯島愛さんが自宅マンションでお亡くなりになっていたことがニュースで報じられました。あれほどたくさんの人に愛され、他人に気遣いをし、多方面で活躍していた彼女が、誰にも看取られずに「旅立ち」を迎えてしまったことに、みなさんもそうだったと思いますが、僕もまた、強い衝撃を受けました。
 そして、ゲイの方(特にパートナーがいない人)で、「もしかしたら、自分も……」と思われた方も少なくはないのではないでしょうか。
 僕もそう思ったうちの一人です。

 ゲイという生き方には、それだけでいろいろな問題が付きまといます。
 たとえば、

・カップルに子供が生まれない
・カミングアウトをしていない場合、女性に興味を示さないと、周囲から変わり者扱いをされる
・それが長く続くと、「結婚(も)できない男」のレッテルを張られてしまう
・さらに親・親類・知人から「なぜお前は結婚しないのか」と責められる
・老後に至るまで、上記の問題と向き合う必要がある
(もちろん、その必要がなくなることを願ってはいますが……)

 それに対する明確な答えは、ゲイの方のサイトを見ても、ゲイ雑誌を読んでも書いていません。
 もちろん僕自身も、その問題を抱えながら日々を過ごしているわけですが、それでも、心に決めていることはあります。
 それは、

 なんらかの形でこれからも小説は書き続けよう

 そう、去年もここで似たようなことを書きましたね。
 書くことしか能がない人間は、やはり書き続けなきゃだめだろう、ということで。
 そして、僕のしょぼい小説でも、もしかしたら誰かを喜ばせたり、明るい気持ちにさせたり、やらしい気持ちにさせたりできるのかなー、とか。
 そんな希望も抱きつつ。

 とは言いつつも、最近シナリオしか書いていなかったので、リハビリも兼ねて、ものすごく久々に小説もどきのミニコントを書いてみたわけです。
 しかし、もともとあまりうまくはない(in オブラート)作風がさらに残念なことに……。
 書いている途中で自分の能力と才能のなさに何度かヘコみましたが、とにかく書き上げました。
 まだまだ荒削りな部分は多く、小説(?)としてはアレな感じですが、へこたれずにこれからも書き続けていこう、僕。


 最近つくづく思うのですが。
 ただなんとなく生きていると、人生はあっと言う間に過ぎてしまいます。
 ゲイであってもなくても、パートナーがいてもいなくても、正社員であってもフリーターであってもニートであっても。
 そして飛田は、わりと人生を無駄に過ごした時間が長かったので、今になって焦ってます(汗)。
 だから。

「おひとりさま」としての生き方を見つけよう

 これが、飛田個人の、今年の抱負です。「おひとりさま」前提というのが、ちょっと哀しいですが。
 生き方を見つけよう、って、そんなことはガキのうちに済ませておけよ、って猛烈に自分ツッコミもしたくなるんですけど。
 でも、見つかっても見つからなくても、見つける努力はしたいのですね。飛田ちゃん的には(失笑)。


 というわけで。
 長かった上に特に誰も興味は持っていないとは思いますが、このブログを訪れてくださったあなたには、これを飛田流の今年の抱負としてお伝えしておきたいと存じます。


 あ、そうそう。お気付きでしょうか。
 今年からブログのプロフィール欄をちょっとだけ変えているのです。
 もしかしたら「コメントレスが苦手」と書いていたため、コメント嫌いに思われているかもしれませんが、けっしてそんなことはありません。
 面白いコメントレスができなかったり、言葉が足りなくて、もしかしたらご不快にさせてしまったり、誤解をさせてしまうかもしれませんが、それでもよろしければ、ということで。


 それでは、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 もうすぐ二月ですが。

追記ッス

2009年01月20日 16:04

 本日発売の雑誌B's-LOG3月号にて、再び『体育教師極』の特集が組まれているのですが、同誌「月刊モサモサ通信」内で、シナリオ担当の飛田と、イラスト担当のガレオ様のインタビューが掲載されています。(注・顔写真とかは掲載されていませんので念のため。笑)

 というわけで、B's-LOGからいらした主に乙女のみなさま、こんにちは。『体育教師極』シナリオ担当の飛田流です。

 飛田は、本作品への意気込みや、執筆の際の軽い裏話などを緊張しながら語っています。
 サイトにはまだ掲載されていないイベントイラストも特集内に掲載されているので、亘武のセクシーショットをぜひご覧くださいませ。

 

エロ小説書きとしての生き方 (4)

2009年01月18日 19:15

 さてさて、ここからがやっと新年の抱負です。
 まずは、ゲイ小説書きとして。

 何度も何度も繰り返していますが、(「飛田流」としての)僕は、ゲイ男性向けのアダルト小説を主に書いています。なお、現在書いているBLゲームのシナリオについては、あくまで依頼されたものなので、この仕事が今後も続くかどうかはまだわかりません。
 よって、ゲームシナリオの執筆は単発的なお仕事になるかもしれませんが、一人でもできる小説執筆のほうは、できれば今後も続けていきたいと思っています。
 ただ、その内容は、『闇の荷物』のように比較的(飛田的には)エロ要素が濃いものと、前述した「勇一・大吾シリーズ」のように普通のゲイの恋愛に焦点を当てたものの、二種類に分かれると思います。
 つまり、僕の書く小説の中には、時にエロくはなく、ヌケないものもあるかもしれません。
 これについては、某誌のキャッチコピーではありませんが、

 エロくてヌケなきゃゲイ小説じゃない!

 という考え方・ご意見ももちろんあるのだとは思います。(僕自身、エロくてヌケるゲイ小説に時々「お世話」になりますし……。苦笑)
 ただ、そこをあえて書いてみたいんですね。エロくはなく、ヌケもしない、だけど、「面白いゲイ小説」というのを。
「面白い」とは言えないかもしれませんが、去年書いたものの中では、『閉ざされた闇の中で』が自分としてはそんな感じでした。

「面白い小説が書きたい」

 これは、飛田としても、飛田の「中の人」としても、ずっと前から思っていることです。
 それはゲイ小説であっても、変わらないことだと思っています。

「面白いゲイ小説が書きたい」

 これが、ゲイ小説書きとしての、今年の僕の抱負です。(前年同様、また大きく出てしまいました……。汗)


(つづく)

エロ小説書きとしての生き方 (3)

2009年01月15日 17:44

 そして、飛田は『体育教師極』のスタッフの一人として、名を連ねさせていただくことになったのですが……。
 実は、いまだにシナリオ担当としての実感がありません。(スタッフのみなさま、すみませんっ)
 エフジーさんのサイトにも、このゲームの雑誌紹介記事に飛田の名前は載っています。でも、まだ心のどこかで「これって本当の出来事なんだろうか」と思っていたりします。

 なにせ、このお話をいただくまでの僕は……。

 そう、去年は僕にとって、もう一つ大きな出来事がありました。
 それまで拙作を発表させていただいていたLoveM・LoveBの更新停止です(このことについて何度も書いてるのって、作家陣の中では僕だけっぽいですね……。汗)。
 特に飛田は、こちらのサイトでゲイ小説デビューさせていただいた経緯もあるので、LoveBへの思い入れはかなりあります。

 去年の年頭で僕は、

 僕がゲイ向けアダルト小説を書くようになり、もちろんそんなエンドのお話もいくつか書いてきました。だけど今年は、そこから「一歩進んだ話」も書いてみたいなあ、って思ってます。もちろん、そうなるとアダルト小説からは離れてしまうので、アダルトサイトへの掲載はできないかもしれませんが、何らかの形で発表はしていきたいですね。
 小説書きとして僕は、ゲイ(カップル)の幸せというのを、これから少し考えてみたいと思います。


 と書いたのですが、それが、デビュー作『一枚上手』に端を発する、勇一と大吾のお話のことでした。

 このシリーズは、現在のゲイアダルト小説の主流であろう、濃厚エロ中心のストーリーではなく、ぶっちゃけて言えばそんなにヌキどころが多いわけではありません。さらには、今後まったくエロシーンのないお話も出てくると思います。
 ただ、売れる売れないとは関係なく、このシリーズで扱っている「ゲイ(カップル)の幸せ」は、飛田の中で今後も追い続けていきたいテーマではあります。

 ですので、「勇一・大吾シリーズ」の続きにつきましては、飛田個人で執筆・発表(同人ダウンロード販売)を続けていきたいと考えております。
 ただし、LoveBと違って、イラストはつきませんが。(←こんなイラストでよければつけますけど。嘘)


(つづく)

エロ小説書きとしての生き方 (2)

2009年01月10日 18:39

 前にも書いたと思いますが、このお仕事を引き受けるまでには、けっこう悩みました。
 もちろん、自分が無名の新人だということもあるのですが、BLという未知の世界に踏み込む不安もそれなりにはありました。なにしろBLファンの方にとって僕は、ゲイアダルトからの闖(チン)入者ですから。(←ザ・昭和ギャグ☆)

 それでも、このゲームのシナリオを書かせていただこうと決断したのは、

「自分の人生を少し変えてみたい」
「新しいことをやって、ドキドキ・わくわくしてみたい」
「『飛田流』という文章書きを少しでも多くの人に知ってもらいたい」


 と思ったからです。(あ、もちろん経済的な事情もありますが。大いに……)

 もし、このお仕事をお引き受けしていなかったら、昨年中に何作か自作小説を書けていただろうし、ここまで『大吾』の続きをお待たせすることもなかったと思います。(もちろん、待っている人はそんなにいないでしょうけど)
 そして、ゲイ雑誌に小説を投稿するという定番コース(?)をたどるのかもしれません。

 だけど、ゲイマンガと違って、ゲイ小説はよほどの大御所作家でない限り、作品が単行本として出版されることはほとんどありません。
 つまり、小説の場合、ゲイ雑誌に掲載される以上の展開が難しく、その後はまた同人活動に戻るルートが容易に想像できます。
 一方、BLの隆盛についてはみなさんご存じの通りで、大手を含めた各出版社がBLレーベルの小説を多数販売しています。商業的に充分に成り立っているその世界は、確かに魅力的に見えました。(相変わらず夢のない発言で申し訳ないです……)

 小説書きを志した者として、自分の書いた作品が本、ないしは形あるものとして出版・販売されるのは昔からの僕の夢でしたし、このお話を断ったとしても、ほぼ無名である僕に次のお話が来る可能性は極めて少ないでしょう。
 このままずーっと趣味の延長線で、自分好みの「おっさんゲイ小説」を書いていくのも、ゲイ小説書きのありふれた一つの人生かもしれません。でも、何にも挑戦しないまま、今からそのルートをたどるのはつまらないな、と思って。

「とりあえずやってみよう。未熟だろうがなんだろうが、すべては『若気(?)の至り』だっ!」

 というわけで、僕はこれまでの人生で一度も足を踏み入れたことのない世界に、一歩足を踏み出しました。
 BL・ゲームシナリオ・商業作品という、まったく未知の世界に。


(つづく)

エロ小説書きとしての生き方 (1)

2009年01月03日 23:33

 というわけで、ミニコント『大吾、キレる。』楽しんでいただけたでしょうか。

 少々遅れましたが、明けましておめでとうございます。
 これまで主にゲイ向けアダルト小説を書いてきましたが、最近はBLゲームのシナリオも書かせていただいている飛田流と申します。


 ――で、ここで新年のごあいさつをさせていただきたいのですが、今日はもう遅いので、また後日。(たぶん明日には。汗←すみません、きちんと書きたいので、もう少し時間をいただければ。<(_ _)>)


============================



 あらためまして、こんばんは。飛田流です。
 去年から今年に掛けて、ミニコントを書いていたため、年始に書けなかった今年の抱負などを数回に分けて書いていきたいと思います。


 さて、飛田は最近BLゲーム『体育教師極』のシナリオを担当させていただいているため、このサイトを訪れてくださっている方は、ビッグダディ関連で間違って迷い込まない限りは、基本的にはゲイの男性の方か、あるいはBL好きの方が多いかと存じます。

 が、しかし。
 飛田の本来の作品には、このサイトに掲載している『大吾、走る。』『闇の荷物』のような、

・おっさんくさく
・むさ苦しく(男臭く)
・がっしりした筋肉系(あるいはぽっちゃりとしたおデブ体型)


 などの特徴を持つキャラが多く登場します。
 BL作品を求めてうちのサイトにいらした方には大変申し訳ないのですが、このサイトのどこを見回しても、イケメン同士のあれやこれやな作品は存在しません。(片方がイケメンという作品はわりとありますが)

 このようにBLを書いたことがなく、ゲイ小説書きとしてもこれと言った実績や代表作がない僕が、商業ゲームのシナリオ担当に起用されたことは、ある意味大抜擢と言えるかもしれません。しかも、『体育教師極』の前作は、ゲームにうとい僕でさえ知っていた、あの『ハンクス・ワークショップ!』(以下HWS)です。
 まさかHWSの次回作に自分が参加させていただくことになるとは、夢にも思っていませんでした。


(つづく)

ミニコント『大吾、キレる。』(後編)

2009年01月02日 23:25

「あ、あの……でも……いいの、かな……」
 汗で滲んだ僕の目には大吾の毛深い巨躯(と、股間で垂れ下がっている巨大なもの)しか入らず、脳みそまでゆだり切った頭からは勇一の存在は完全に消え去っていた。
「まあ……大吾が、どうしても、って言うなら……」
 仕方ないよね、とおずおずと立ち上がろうとした僕に、
「ああ、飛田ちゃんはそこで座って見ててくれ」
 大吾は、平然とした口調で告げた。
「あ……え?」
 中腰で固まり口を半分開けたままの僕を放置して、大吾はまっすぐ前を見据えると、
「んむぅ……ふぅぅぅー……」
 大きな鼻の穴をさらに目一杯おっ広げて深く息を吸い、むさ苦しい無精ひげに覆われた分厚い唇をすぼめて長く息を吐いた。
 続けて、大吾はすっと両手を真上に掲げた。両脇の下から現れたもっさりとした脇毛に、一瞬僕は目を奪われる。
 それまでにやついていた大吾の顔が、急にきりりと引き締まった次の瞬間。
「フレー、フレー、ひ、だ、りゅうぅぅぅーーーっ!!」
 突然大吾は、腹の底から部屋中に響き渡る声を張り上げた。
「……!! 大吾……」
 ぶっとい手足を振り回し、部屋の真ん中で大吾は応援の演武を始めた。全裸ではあるけれど、単なる裸踊りのような滑稽さは微塵(みじん)もない。両の握り拳を力強く交互に正面に突き出す剛健な演武に、僕はただ見とれていた。
「押忍! 押忍! うーーーーっす!!」
 空手に似た演武の型をひとつひとつ決めるたびに、大吾の毛深い体には汗が滲んでいき、半剥けのチンポもぶらんぶらんと股間で大きく揺れる。
 寒々しい部屋の中で、真剣な顔でひたすら演武を続ける大吾の体からは、湯気と汗の匂いがうっすらと立ち上っていた。
 そして、演武を続けながら、大吾は調子っ外れの声で「あの歌」をがなり始めた。

 正義に集う若人よ
 希望の空に茜燃ゆ
 母校の名誉守り抜き
 ここで尽くすぞ我がベスト
 いざやその名を轟かさん


 音程もめちゃくちゃで、はっきり言って音痴ではあるけれど。
 その凛々しい姿は、僕の目には、学ランを着た十数年前の大吾の姿とオーバーラップした。
 団歌を歌い終え、顔を真っ赤にした大吾は、また両手を振り上げた。
「フレー、フレー、たいいくきょぉぉぉしぃーーーっ!!」
 そして、直立不動の姿勢に戻ると、「押忍!!」と両腕を毛深い胸の前で交差させ、深々と頭を下げた。
 僕は、最初から最後までその熱演を呆然と眺めていた。
 演武を終えた大吾は、汗が浮いていっそうむさ苦しくなったひげ面に、またいつもの人懐こい笑みを浮かべた。
「どうだ? 少しは元気出たかっ」
「だい、ご……」
 胸の奥からこみ上げる熱い気持ちが、僕の声をまた少し震わせた。
 感動醒めやらぬまま、ふらふらと立ち上がった僕は、熊みたいに大きな大吾の体をぎゅっと正面から抱き締めた。
「あり、がとう……っ!」
「お、おい……飛田ちゃん」
 大吾が戸惑うのも構わず、僕は、その毛深くがっしりと盛り上がった胸板に顔をうずめていた。じっとりと濡れた大吾の胸からは、汗と体臭の入り交じったにおいがする。
「う、うむぅ……」
 大吾はかなり困ったような声を上げていたが、
「ったく……正月だからな……今日は特別だぞ」
 やれやれ、といった口調でそうつぶやくと、僕の背中に丸太のような腕を回してポンポンと叩いた。
 僕たちは、しばらく無言で互いの背中に手を回していた。
 ほてった大吾の体は温かく、その熱は僕の体を通して心にまで伝わっていった。
「びっくりしたよぅ……いきなり大吾、服脱ぎだすもんだから、まさか……って」
「ちょっと前だったら『そうやって』飛田ちゃんを慰めてやったもしれんが……」
 大吾は、そこでいったん言葉を区切ると、
「田上ちゃんと出会っちまった今では、もう誰かれかまわず『そんなこと』はせん」
 野太い声できっぱりと言い切った。
「それに……俺たちの関係は、そんな薄っぺらいもんじゃねえだろ」
「大吾……」
 僕の体を抱き締める大吾の手に、少し力がこもった。
「俺と飛田ちゃんは一心同体。田上ちゃんと飛田ちゃんも一心同体。とにもかくにも飛田ちゃんがこの先を書き進めてくれんことには、俺たちにはどうにもできんのだ」
「ああ……うん」
 照れた僕の声が、途端に小さくなる。
「それはいつになるかは、まだわからないけど……ね」
「わかっとるわかっとる。――まあ、俺の希望としちゃあ、今度は『田上ちゃんを』この腕に抱き締めてえとこだかな」
「……あっ」
 その時、作者的にかなりヤバい行為をしていることにやっと気付いた僕は、あわてて大吾の体から離れた。
「……ごめん」
「ガハハ……なんだ、もう終わりか?」
 大吾はいたずらっぽい笑みを返す。
「まあ、今日は『おひとりさま』同士、朝まで飲み明かそうじゃ……ふぇ、ふぇ……」
 あっ、と思う間もなく、大吾のでかい小鼻がびくびくと震え、
「ブェックション!!」
 ものすごいくしゃみがもろに僕の顔を直撃した。
「…………。だーいーごーぉぉぉぉっ」
「あ……いや、すまんすまん……」
 大吾は決まり悪げな顔で、鼻の下を二、三度指でこすり、
「大学時代の寒稽古の時にゃマッパでも楽勝だったんだがなぁ」
 大きな体をぶるりと震わせて軽く鼻をすすり上げると、床に脱ぎ散らかした服にいそいそと手を伸ばした。

 ――それから数時間後。
 窓の外はそろそろ白み始めていた。
『感謝の裸踊り』の時と同様、手土産のはずの日本酒をほとんど自分で飲み尽くした大吾は、またもや床の上で大の字になると、盛大にいびきを掻いていた。そのむさ苦しくも愛らしい、無精ひげに覆われたおっさん臭い顔は、深酒のせいかだらしなく緩んでいる。
 ちなみに、今回は二人ともちゃんと服を着ている(笑)。
「……ん?」
 まだ少し酔いが残っている僕の目の端に、ちかちかと瞬く小さな青い光が映った。
 その光が放たれているのは、パソコンデスクの上に置きっ放しだったケータイだった。青い光の点滅は、メール着信を知らせる合図だ。
 僕は立ち上がって、デスクの上からケータイを取り上げた。
「……誰だろ」
 開いて中を確認すると、二通、新着メールが届いていた。
 その差出人は……。
「勇一……?」
 そう、それは両方とも、田上勇一からのメールだった。 さっきから大吾が何度も「田上ちゃん田上ちゃん」と口にしている、当の本人である。

『謹賀新年』
 明けましておめでとうございます。田上です。
 もし、飛田さんのご都合がよろしければ、初詣のついでにお宅に立ち寄りたいのですが、よろしいでしょうか。


 そのわずか三分後、勇一から続けてメールが届いていた。

『失礼いたしました』
 すみません。
 やっぱりご迷惑ですよね。
 変なメールを送ってしまって、申し訳ありませんでした。


「ああ……」
 送信日時を見ると、昨日の晩、つまり去年、大吾と電話で話していた時間にこれらのメールは送られていた。
 現在時刻は、午前五時ちょい過ぎ。
 今から電話で連絡を取っても、もう勇一は自宅のアパートに帰って寝ているかもしれない。
 とりあえず僕は、メールを返信することにした。

『Re:謹賀新年』
 勇一、明けましておめでとう。飛田流です。
 もし、まだ家に帰っていないのなら、僕の家に立ち寄ってくれませんか。
 僕も、長く出番を待たせてしまっているお詫びをしたいので、よかったらぜひ来てください。

 P.S.
 大吾も来ています。勇一が来てくれると、大吾もきっと喜ぶと思います。


(もし、勇一が来るとしたら……なにか温かい飲み物でも用意してやろうか)
 メールを送信してケータイをズボンのポケットに入れた僕は、大吾を起こさないように足音を忍ばせて廊下に出た。
(ん……待てよ)
 ふと、あることを思い出し、台所に向かおうとした僕の足は、回れ右をして玄関に向かう。
 そして。
「ああ……やっぱり」
 玄関に来ると、案の定大吾のスニーカーが、両方とも擦り切れた靴底を上にして、脱ぎ散らかされていた。
 苦笑を浮かべて僕は、大吾の巨体に見合った、その二十九センチはあろうかというビッグサイズのスニーカーを揃えて、並べ直した。

 ピッ……ピピッ……ピッ……

「えっ……」
 その時、かすかな電子音が、耳に届いた。
 僕は動きを止めて、その音に神経を集中する。

 ピピ……ピッ……

 ♪~


 これは……ケータイの操作音だ。それに気付いたと同時に、
「……うわっ」
 ポケットの中のケータイが震えた。
 反射的にケータイを取り出して、中を確認する。

『申し訳ありません』
 せっかくのお誘いですが、もう自宅に戻りましたので、ご訪問はまたの機会にさせていただきたいと存じます。
 お気遣いありがとうございます。
 それでは。


 それは、勇一からの三通目のメールだった。
「まさか……っ」
 あわてて僕は大吾のぶかぶかのスニーカーを突っかけると、おぼつかない足元で玄関に駆け寄り、ドアを開けた。
 明るい群青色の空からちらちらと粉雪が舞う中、赤いパーカーを着て、ニットの帽子・マフラーを付けた男が、僕に背を向けて立っていた。その手にはケータイが握られている。
「勇一……?」
 僕の呼び掛けに、ぎくりとしたその男はパーカーのポケットにケータイを突っ込むように隠した。
「……」
 ゆっくりと振り返ったその顔は、やはり勇一だった。
 まるで悪事を見つけられたかのように、ひどく驚いて、わずかに脅えたような表情を浮かべた勇一はそのまま唇を固く結んだ。
 僕と目を合わせないまま、すみません、と小さな声で詫びた彼の形の良い唇から白い息が漏れる。
「立ち寄るつもりはなかったんですけど……つい」
 と、勇一は頭を下げ、「それじゃ……」と逃げ去るように背を向けようとした。
「ちょ、ちょっと待って! せっかく来てくれたんだから、部屋でもう少し話でも……」
 しかし、勇一はどこか悲しそうな顔で、首を横に振る。
「僕がここで安岡さんと会ってしまったら、前回のラストとつながらなくなってしまいますし……。それに……」
 しばらくためらっていた勇一は、顔を上げて、僕の目をじっと見つめた。
「僕は……信じてますから。もう一度、安岡さんと会えることを……」
 その澄んだ、悲しげな目に、僕は一瞬息が詰まる。
 そして勇一は僕に背を向けると、そのまま歩き始めた。
「あ、あの……勇一!」
 だんだん小さくなる赤いパーカーの背中に、僕は叫んだ。
「もしかして、そのパーカー、『あの時』からずっと……」
 だが、今度は勇一は後ろを振り返らずに、僕の視界から赤いパーカーは消えた。
 朝日が少しずつ空を赤く焼き始めていた。
「勇一……」
 後を追うことはできた。でも、勇一の性格からして、たとえ追いついて問いつめたとしても、それ以上のことを口にはしないだろう。
 ――そう、そのキャラクター設定を決めたのは、他ならぬ僕自身だ。
 僕は家の中に入り、玄関のドアを閉めると、また自分の部屋に戻った。少し冷えた体に、つけっぱなしのハロゲンヒーターの熱が温かく感じた。
 ぐっすりと床の上で寝込んだ大吾は、酒のにおいをぷんぷんさせながらまだ、いびきを掻いていた。
「田上ちゃん」がさっきまで玄関にいたことも知らずに。
 大吾と勇一のこれからの運命は、作者の僕の手に委ねられている。できれば、大吾も、勇一も、幸せにしてやりたいと思う。
 しかし、今はまだ、その続きを書くことができない。
「……大吾……勇一……」
 申し訳ない気持ちが、僕の心にじわりと広がっていく。
「はぁ……」
 またため息をついた僕は、待機状態のパソコンのマウスに手を置き、わずかに動かした。黒い画面が切り替わり、『体育教師極』の書き掛けのシナリオが現れる。
「とにかく……これを書かなくちゃ、なんにも終わらないし、なんにも始まらないよな……」
 そうつぶやいて、椅子に座った僕は、またシナリオを書き始めた。
(もう少しだけ待っててね……大吾、勇一)
 一日も早くこのシナリオを書き上げて、また、小説を書こう。勇一と大吾の、滑稽でどこか切ない物語を。
 心の中で僕がそう決心した、その時。
「うむぅ……いざや、その名を……ぐ、ふぅぅ」
 僕よりもずっと図体の大きい「息子」の、むさ苦しくも愛らしい寝顔を、朝日はまぶしく照らし出していた。


(ミニコント終わり)

※少しでも面白いと思っていただけたら、拍手ボタンをポチッと押してくださると、今年も一年頑張れそうな予感(笑)。

ミニコント『大吾、キレる。』(中編)

2009年01月01日 23:15

「さっきは、すまんかったなぁ……」
 ジャンパーと薄汚れたジーンズに褪せた藍色の前掛けをつけた、仕事着姿の大吾だった。足元の大きなスニーカーはかなり履き込んでいるのか、ぼろぼろに擦(す)り切れている。
「飛田ちゃんの事情も考えずに、俺、つい自分勝手なことばっかり言っちまって……本当に、すまん」
 相変わらず無精ひげを生やした大吾は神妙な面持ちで頭を下げると、後頭部に手を置いてぼさぼさの髪をがりがりと掻いた。
「売り物(もん)ですまんが、ささやかながらこれで一緒に新年を迎えんか」
 四角く大きな顔に、照れくさそうな笑みを浮かべる大吾の右手には、年始用ののしで包まれた一升瓶がぶら下がっている。
「……ぅぅ……」
 しかし、一秒ずつ減っていくカウントダウンの数字が頭の中でちらついている僕には、これ以上大吾の話を聴いている余裕はない。
「そ、そんなことどうでもいいからっ!」
 しびれを切らした僕は、酒瓶を差し出そうとした大吾の大きな手を強く引っ張った。
「おっ、ぉぉ……っ、どうしたんだっ、飛田ちゃん!」
 身長一九〇センチはある体躯をよろめかせ、驚いた表情を見せた大吾に、僕は早口でまくし立てた。
「し、新年まで、あと一分切ってるんですよっ、早くしないと、カウントダウンに間に合わない!」
「カウントダウン、って……おぁっ、ちょちょ、ちょっと待て、おいっ!」
 強引に大吾の手を引いて中に引き入れると、僕はまた全速力で部屋に戻った。スニーカーを脱いだ大吾も、どたどたと大きな足音を立てて僕の後を追う。
 息を切らしながら僕は全速力で廊下を走る。そして、自分の部屋に転がり込んだ僕の耳には――。
『というわけで、二〇〇九年、明けましておめでとうございまーす』
 高らかな新年のあいさつと、沸き返るスタジオの歓声が無情にも届いた。
「う、わぁぁぁ……」
 年に一度の記念すべき瞬間を見逃した……。
 取り返しのつかない事態に、脱力した僕の体はへなへなと床に崩れ落ちる。
「ど、どうしたんだぁ、飛田ちゃん」
 数秒遅れて部屋に入ってきた大吾は、呆然と座り込んでいる僕を見下ろしながら、まったく訳が分からないという表情で、ただ首をひねっていた。
「も、もしかして、飛田ちゃん……」
 一升瓶をどんと床に置いた大吾は僕の隣にしゃがみ込むと、ぶっとい腕を僕の肩に回した。
「そんなに新年のカウントダウンを楽しみにしとったのか……」
 いまさらそんなすまなそうな声を出されても遅いんだよぅ……。
「もう……知らない……っ」
 僕は床にうつむいたまま、泣きそうな声を上げた。
 一年の初っぱなからこれじゃあ、今年もどうなることやら……。
「……」
 しばらく黙ったまま、僕の肩を抱いていた大吾は、
「ったく……世話の焼ける『父ちゃん』だなぁ」
 がしがしと僕の頭を大きな手でかいぐると、やおら立ち上がった。
 完全に気持ちが落ちた僕には、顔を上げる気力も残っていない。僕は大吾から顔をそむけて、ただうなだれていた。
(……あれ)
 すると、僕の耳になにやら奇妙な音が入ってきた。
 服のすれる音、ベルトを外す音、ジッパーの開く音……。これは、まさか……。
(……も、もしかして……っ)
 跳ね上がるようにして大吾を見ると、なんと大吾は、上半身の服は全部脱ぎ捨て、下半身はジーンズを今まさに脱ぎ始めようとしているところだった。一枚ずつ大吾が服を脱ぎ捨てるたびに、汗のにおいと雄臭い体臭が辺りに漂う。
「だ、だ、だだだだだ、大吾っ、何をいきなり……っ」
 思いも掛けなかった大吾の行動にただあわてふためく僕に、大吾はむさ苦しい笑みをにっと浮かべた。
「俺がカウントダウンよりももっといーいこと、今からしてやっぜぇ」
 にやにやと笑いながら大吾はジーンズも脱ぎ捨てると、ついに白ブリーフ一丁になった。
「い、いや、あの……なにも、そこまで……」
 目の前に露になった、大吾の濃い体毛で覆われたがっしりとした筋肉、ちょっと緩んだ腹、少々黄ばんだブリーフの膨らみ。
 あまりにも突然の展開に、僕は戸惑うばかりだった。
 そんな僕の顔を見て大吾はまたにやりと笑うと、右手の人差し指で意味ありげにブリーフを指した。
「どうだぁ飛田ちゃん、ここの『中味』も見てみてえか」
「は……はぃぃ……」
 本来は寒いはずのこの部屋で、耳まで真っ赤になった僕はこくこくとうなずく。
「よーし」とブリーフの縁(ふち)に両手の親指を掛け、大吾はおっさん臭い助平な笑みを浮かべた。
「まずは新年最初の『ご開帳』だぁ。ほーれ、よーく見てろよぉ……っ、と」
 大吾が一気にそれを膝までずり下ろすと、
「……っ」
 密集した体毛に包まれた、半剥けで赤銅色の巨砲が、ぶるん、と勢いよく飛び出した。大吾の股間でずろんとふてぶてしく垂れ下がるチンポは、まだ膨張の兆しさえ見せていないにもかかわらずその巨大さゆえに、ある種の威圧的な存在感さえ醸し出していた。
 その最後のブリーフも脱ぎ捨てて、完全に裸になった大吾は、毛深い手でぼりぼりと股ぐらを掻くと、不敵な笑みを浮かべた。
「んじゃあ、そろそろ始めるとすっかぁ」
 僕の心臓は破裂しそうなほど高鳴っていた。


(つづく)

※すみません、後でいろいろ直します(苦笑)。


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