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体験版

2008年02月20日 13:34

『大吾、走る。』体験版をサイトにアップしました。(本編の前半を収録。このブログで先行公開した内容と同じです)
 飛田流というエロ小説書きがどのような小説を書いているか、手っ取り早くお知りになりたい方は、こちらからどうぞ。

 なお、上部アダルトサイトバナーの、オッパイぶるんぶるん・ずっこんばっこん(ノンケ仕様)が気になる方の場合は。(無料ホームページなので、必ず表示されるのです……)
 お手数ですが、商品ページから体験版ファイルをダウンロードしていただき(体験版のダウンロードには、お金はかかりません)、解凍してご覧いただければと存じます。

 よろしくお願いいたします。

小説『大吾、走る。』  (8)

2008年02月14日 14:08

 しばらくの沈黙の後、大吾の耳に勇一が服を脱ぐ音が届いた。今度は大吾の喉がごくりと鳴る。
 勇一は大吾のブリーフも引き下ろし完全に裸にすると、大吾の大きな体の上に、汗ばんだ自分の身を横たえた。勇一の滑らかな肌と大吾の毛深い肌は直接触れ合い、目覚めつつある勇一の男性器は、体毛に覆われた大吾の太い腿、そして、その間にある巨大な睾丸とこすれ合う。もう何も二人を隔てるものは何一つない。興奮が最高潮に達し、ついに我慢できなくなった大吾は、
(すまん、田上ちゃん)
 いきなり勇一の頭をつかんで自分の顔に引き寄せると、彼の唇に厚い舌を割って入れた。勇一もそれを待っていたかのように、積極的に大吾の舌を迎え入れた。二人の舌はべちょべちょと淫らな音を立てて、にゅるにゅるとからみ合う。その下半身では、欲望のまま高ぶった二本の肉棒がごりごりと押し当てられた。勇一は、大吾の顎、首筋、胸、腹をむしゃぶるようになめつくした。そのたびに、大吾は、獣が唸るような低い声で、悦びの声を上げる。勇一はふたたび、大吾の肉棒を思い切り口に含んだ。勇一の口の中にそれが出し入れされるたびにじゅぽじゅぽと卑猥な音が、狭い部屋中に響きわたる。
「う……し……ケツ出せぃ……俺が入れてやる」
 その時の大吾の声は、わずかに震えていた。だが、勇一はそれに気付いた様子もなく、いったん大吾から離れて、脱いだ服をごそごそと探り始めた。そして、
「ふ……んんっ」
 大吾の体の中でもっとも鋭敏な皮膚をコンドームのゴムが伝う。背中がざわめくようなその感触に、大吾の全身が硬直した。大吾が初めて勇一と会ったときから、ずっと待ち望んでいた行為がいま、ついに実現しようとしている。
 体の底から沸き起こる武者震いを抑えつつ、大吾は全神経をペニスに集中させて「その時」を待った。
 準備を終えたのか、息を荒くした勇一は、大吾の体にまたがる姿勢を取った。勇一のあえぎ声にも似た吐息が、大吾の鼻先に届く。
 数秒後、大吾の亀頭の先に、勇一の熱くすぼまった粘膜の感触がぐちゅりと伝わった。おそらくローションを塗ったのだろう、わずかに腰を動かしただけで、大吾と勇一が触れ合う一点は、ぬちゅっと淫らな声を上げた。勇一はそのままじりじりと腰を下に沈め、まず勇一の尻は、包皮で半分覆われた大吾の亀頭の先端をわずかに飲み込んだ。
「う……ううん」
 だが、勇一の腰の動きは、そこでストップした。大吾ほどの巨根となると、勇一でなくともそれを受け入れるにはかなりの困難を伴うのだろう。
(申し訳ない……田上ちゃん)
 大吾は心の中で勇一に詫びる。しかし、男の性とでも言うべきか、大吾の下半身は心とは裏腹に、一刻も早く勇一と根元までつながりたいと悲鳴を上げていた。しかし、勇一は脅えたような息づかいのまま、それ以上大吾を受け入れようとしない。
(こ、このままじゃ生殺しだ……)
 どうにも我慢ができなくなった大吾は、思わず腰を浮かせ勇一の尻を軽く突き上げた。
「……あっ」
「早う……せんかい」
 大吾と彼の巨大な肉竿にせっつかれた勇一は、覚悟を決めたのか、「ん、んんんっ」と低くうなりながら、腰をじりじりと下ろした。大吾は勇一が少しでも自分の巨根を受け入れやすいように、さりげなく腰の位置をずらした。そして――。

(以下、本編につづく)

 *******

 はい、というわけで、こんにちは。作者、飛田流です。
 小説『大吾、走る。』の前半、いかがでしたでしょうか。
 ……。
 あ、なんかみなさんの視線が怖い……。
 もしかして僕、空気、読めてません?(汗)

 この続きにご興味のおありになる方は、後日委託業者によってダウンロード販売予定の本編をご購入いただければ幸いです。
 準備が整いましたら、このブログ・サイトで告知させていただきますので、もうしばらくお待ちくださいませ。

※23時追記。
 そろそろ寝ようかな、と思ったら、委託業者から作品の本登録完了の連絡が。
 早っ!(しかもコメントまで付いている……)
 というわけで、ご購入の方は、こちらからどうぞ。
 よろしくお願いいたします。

小説『大吾、走る。』  (7)

2008年02月13日 09:55

 薄暗い部屋で、男たちのあえぎ声が響く。
 目を閉じたまま、勇一にブリーフを太股までずり下げられ、その毛深い巨体をベッドの上で横たえている大吾。大吾のそそり勃った巨大な仮性包茎のペニスに、ぐちゅぐちゅと舌を絡ませ、むしゃぶりついている勇一。大吾がすでに目を覚ましていることなど彼は知るよしもない。
(信じられねえ……田上ちゃんが、俺のチンポしゃぶってくれてるなんて)
 その姿が見たい。勇一がどんな顔で、どんな舌使いで自分のチンポをしゃぶっているのか、この目で見たい。大吾は、草野球の試合が終わって、そのままシャワーを浴びてこなかったことを後悔した。大量に飲んだ酒のせいもあり、もともと汗かきで毛深い大吾の体はかなりにおうはずだ。
(こうなるとわかっとったら、チンポを念入りに洗っといたんだがな……)
 だが、勇一は大吾の心配をよそに、裏筋、亀頭、鶏卵サイズのぼってりとした睾丸にかけて、懸命にしゃぶっている。巨大な肉棒の敏感な皮膚を、勇一の熱い舌がちろちろと伝うたびに大吾の体の奥から快感がせり上がってくる。それとともに、これまで抑えていた勇一への思いが一気にあふれ出た。
 このまま勇一を抱き締めたい。そして、ずっと前から勇一を好きだったことを伝えたい。だが、今それをしてしまえばどうなる。勇一にまた恥を掻かせ、さらには傷つけてしまうかもしれない。大吾はぎりぎりのところで、目を開けるのを踏み止まった。
「……一年のぉ……坊主の仕事は……まずは……先輩団員のチンポを、しゃぶりあげることから……はじま……」
 大吾は勇一自らが気づくように、少し演技がかった野太い声を出した。しかし勇一はそれに戸惑うこともなく、まるで従順な後輩のように、「命令」通り大吾のペニスをじゅるじゅると音を立てて舐め回した。その熱い舌の愛撫は、大吾のへそ、脇腹、乳首とあちこちに飛び火する。そのたび、大吾は勇一の唾液と自身の先走りでべとべとになったペニスをびくびくと震わせた。勇一のぎこちなくも懸命な愛撫、艶めかしいあえぎ声、間近で嗅ぐ勇一の汗と体臭が交じり合ったにおい、それを全身で感じながら、大吾は、半開きの口から「ああ、んんんっ」と野太いあえぎ声を上げた。
 自分が目を覚ましていることを勇一に気付かれてもいい。つながりたい、勇一と一つになりたい。その思いが、快感に巨体をびくびくと震わせる大吾の口からほとばしった。
「貴様も裸になれ……俺が……直々に団の規律を手ほどきしてやる」

 (つづく)

※無料掲載分は次回までです。
 そして、お忘れかもしれませんが、少しでも面白いと思ってくださったら、お手数ですが下の拍……いや、なんでも。

小説『大吾、走る。』  (6)

2008年02月12日 13:54

 大吾が勇一と出会って三か月経った九月のある日、大吾は『ビッグゴールデンボーイズ』のメンバーに勇一を誘って、彼ともっと親しくなることを試みた。少々強引すぎるかもしれない、と自分でも思ったが、すでに多少の歯止めが利かないほど、大吾は勇一に夢中になっていた。
 ところが、よりによって勇一がメンバーに加わったその試合はボロ負けだった上に、運動音痴の彼に恥を掻かせてしまい、自己嫌悪に陥った大吾は、勇一と行ったいつもの焼き鳥屋『てっちゃん』で浴びるほどヤケ酒を飲んだ。そのあとの記憶は大吾の頭からすっぽりと抜け落ちている。
 次に大吾の意識が戻ったとき、彼はどこかの家の薄暗い廊下にべったりと腰を下ろしていた。大吾は薄目を開けて辺りを見回す。目の前にあるのはアパートの玄関らしきドアで、廊下の奥では勇一がそそくさと部屋の掃除をしていた。どうやらここは勇一のアパートの部屋らしい。
(マジかよ……感謝するぜ、神様!)
 この千載一遇のチャンスに、ここが勝負とばかりに、勇一が見ていないうちに大吾は一気に服を脱ぎ、白ブリーフ一丁になると、またさっきと同じように顔をうつむけて床に座り込んだ。数分後、玄関先に戻ってきた勇一は、
「って、安岡さんっ!」
 大吾がこれまで聞いたことがないほど上ずった声を出した。
「どうしよう……」
 困ったようにそうつぶやいたあと、勇一は泥酔状態を装った大吾の手を取り、肩を組むようにしてベッドまで運ぶと、ブリーフ一丁の大吾をその上に仰向けに寝かしつけた。
 勇一の、ごくりとのどを鳴らす音がした。
 彼の視線にいま、自分の体が晒されている。そう思うだけで荒くなる鼻息を大吾は懸命にこらえた。
 しばらくの静寂のあと、
「安岡さん、そんな格好でいると風邪ひきますよ」
 いつもよりもかなり揺らいだ声を出した勇一が、軽く大吾の肩を揺する。が、大吾は答えなかった。
 また、沈黙がよぎったその後。
(……んあっ)
 大吾の股間を、ブリーフの上からそっと撫でる感触があった。それは、おずおずと伸びた勇一の指だ。
 その瞬間、大吾の中で何かが弾けた。
 気がつくと大吾は、自分の股間の上にあった勇一の手首をがっしりと握っていた。
「……あっ」
 小さな悲鳴のような声が、勇一の口から漏れた。
 目をつぶったまま大吾は、自分のブリーフの上に勇一の手をぐにぐにと押しつけた。
「……ちゃんとぉ……しごかんかぃ……」
 大吾の理性もまた、限界を超えていた。

 (つづく)

小説『大吾、走る。』  (5)

2008年02月11日 13:01

 大吾は後に、その男が田上勇一という名前で、自分よりも三歳年下であることを知る。さらに、勇一が週二回、月曜日と木曜日の夜七時以降にこのスポーツクラブを訪れることを彼の口から聞くと、大吾もすぐさま仕事の調整をし、なるべく勇一と同じ曜日にクラブに顔を出すようにした。ただし、あくまでも偶然を装う、という形でだ。
 大吾は、勇一のことをもっと知りたいと思った。店番をしている間、レジの脇に置いたノートパソコンで自分の店のホームページの更新をしながら大吾は一人妄想にふける。できることなら、勇一と友人になり、親友になり、そして……。だが、その先の「恋人」というのはさすがにないだろう。店に入荷予定の日本酒リストをサイトにアップした大吾は、はやる心に自ら釘を刺した。
 確かに勇一の言動の端々、たとえばクラブの浴場で裸の男が入ってくるたびにふと目線をそちらに泳がすところなどから、彼が自分と同じゲイである確率はそう低くないように思えた。だが、好きになった男がゲイだった、などという都合のいい展開は、ゲイ雑誌の小説の中にしか転がっていない話だ。そうでなくとも、大吾には思い込みが激しく、猪突猛進気味なところがある。
 今回、大吾はかなり慎重に事を進めることにした。
 クラブのトレーニングルームで大吾が勇一の姿を見かけると、まずは「田上ちゃーん」と軽く彼に声掛けをし、天気や昨日見たテレビの話で勇一の心を和ませ(少なくとも大吾はそのつもりである)、トレーニングで一汗かいたあとはクラブの浴場でともに汗を流す。――まあ、風呂で勇一の裸を背後からじっと見つめたり、ついつい彼の標準サイズのペニスに触ってしまうこともたまに……いや、たびたびあったが。
 そんな地道な「裸の付き合い」作戦が功を奏したのか、勇一との初めての出会いから一か月後の夏、大吾と勇一はトレーニング後、大吾行き付けの焼き鳥屋で酒を飲み交わす仲にまで発展した。
 翌週にお盆を迎えた八月の木曜の夜のことだろうか。頭のはげた店主が黙々と焼き鳥を焼くその店『てっちゃん』にて大吾は、勇一自身の口から二十八歳の現在でも恋人がいない、と聞かされた。
 それは、彼らが酒を酌み交わすようになってから五度目にしての勇一の告白であり、そのとき大吾は少なからず安堵をしたものだ。
「お、俺もな、恥ずかしい話なんだが、この年齢(とし)でまだ『コレ』がおらんのだ」
 一瞬親指と小指のどちらを出せばいいのか迷いつつも、大吾もまた目の前の勇一と同様に顔を赤らめながらそう語り、目の前のグラスに入った焼酎を一気に飲み干した。「その意味」に勇一が気付いてくれることを願いながら。
 だが、その後しばらく、彼らの関係が「友人」以上に進展することはなかった。

 (つづく)

小説『大吾、走る。』  (4)

2008年02月10日 16:55

 そもそものきっかけは、大吾の幼なじみで『ビッグゴールデンボーイズ』のメンバーでもある玉川金次郎が、次回の草野球の対戦相手を伝えるために大吾の家に立ち寄ったときの一言だった。
「大吾、その腹最近メタボってねえ? マジで」
 大吾の部屋に上がった金次郎は、いきなり大吾の緩んだ腹をじろじろと見て、そう無遠慮に言った。金次郎の口が悪いのは昔からだが、全身にがっしりとついた筋肉は大吾と共通するものの、身長は一六三センチそこそこの彼にそう言われると、さすがに大吾も腹が立った。
「っ……何をぬかしやがる、このタマキン野郎! 貴様こそその空気の読めん性格と足りねえ身長なんとかせんかっ」
 とは言い返したものの、長年の暴飲暴食が脂肪となって蓄積した腹が密かに気になっていたのは図星だった。そんな折大吾は、新聞の折り込みチラシで、家から三駅先の繁華街に駅ビルのスポーツクラブがあることを知った。その駅の東口近くには、小料理店・風俗店が立ち並ぶ路地裏に、大吾いきつけで、なおかつ昔からの酒の得意先でもある小さな焼き鳥屋があり、地の利もある。
 六月限定の入会金無料キャンペーンの期限ぎりぎりとなる翌週月曜日の夜、得意先への酒の配達を終えた大吾は、軽い気持ちでクラブに出向き入会手続きをした。正直なところそこに通う筋肉質の男たちの裸を見たいという下心もなかったわけではない。
 さっそくトレーニングウェアに着替え、インストラクターの青年の案内でジムに入った大吾の視線は、ずらりと並ぶ最新機種のトレーニングマシンではなく、それを使っている男たちにまず真っ先に向けられた。駅ビルという場所柄か、客層は若い女たちを除けば、会社帰りのビジネスマン風の青年や壮年が大半だ。汗でシャツが体に貼りつき、黙々とトレーニングに勤しむ彼らからはストイックな男の色気が醸し出されている。ここはハッテン場ではないのでさすがに「手を出す」ことはできないにしても、これから彼らの裸がシャワールームや風呂場で見放題となるわけだ。大吾は心の中でほくそ笑みながら、まずは脚力強化用マシンでトレーニングを開始した。
 ところが、大吾が力加減も考えずガンガン足踏みをしていたところ、突然ガタンという音がして、
「ぬおぉぉぉっ!」
 マシンが動作しなくなってしまった。大吾の全身にどっと冷や汗が流れる。インストラクターに連絡すべきか、何事もなかったかのようにこの場を立ち去るか。
「う、ぐぐぅ……」
 いずれかの決断を迫られた大吾の顔はこわばり、その巨体にさらなる汗が伝った。沈黙したままのマシンの上で数分間固まり続ける大吾。そこへ、
「どうかなさったんですか」
 大吾の背後から、心配げな男の声が掛けられた。ぎくりとして振り返った大吾の目の前に、地味な茶色のトレーニングウェアを着た男がいた。スジ筋というほどではないが、すらりとした体型の彼も、片手に自分のトレーニングメニューを抱えているから、このクラブの会員なのだろう。大吾のそれと似た中年向けにも見えるウェアだが、その整った童顔からして、男は自分と同年代かやや年下というところか。
 彼を見た瞬間、大吾は驚きとともにこう思った。
(なんちゅう優しい瞳をした男だ……)
 彼の澄んだ二つの瞳をまっすぐに向けられて、大吾は自分の顔が熱くなっていくのを感じていた。
 安岡大吾、三十一歳にして生まれて初めての恋であり、かつ一目惚れであった。

 (つづく)

小説『大吾、走る。』  (3)

2008年02月09日 10:32

 筋肉ががっしりとついたその巨躯から簡単に推測できるように、大吾は若い頃から体力にはかなり自信があり、なおかつ喧嘩っ早いほうでもあった。今でこそ大吾は、同じ町内のオヤジ連中が集まった『ビッグゴールデンボーイズ』という草野球チームの監督を任されるほど周りからの信頼を得ている。だが、高校時代までの大吾は物事を腕力で解決することもたびたびで、そのため周囲の人間と対立することも多かった。そんな大吾が大きく変わったのは、彼が大学の応援団に入団してからのことだ。
「女子との交際禁止(風俗も含め)」という鉄の掟が存在するその応援団で大吾を待っていたのは、先輩の命令による下級生の集団オナニーや、下半身だけ裸になった先輩のペニスの尺八など、「しごき」の名を借りた強制性欲処理であった。その時点で退部する団員も少なくはなかったが、大吾はそれに耐え抜き、三年後団長に就任するまでに成り上がった。さらにこの時期徹底的に先輩たちから男の味を教え込まれた結果、大吾は自分の中に流れる男好きの血をはっきりと自覚することとなる。 ただ、雄臭い風貌で仮性包茎ながらも巨根の大吾は、苦労せずともハッテン場に行けば向こうから男が寄ってくるため、特定の「相方」を作る気などさらさらなかった。性欲が溜れば、即座にハッテン場に行ってそれを解消する。当時の大吾にとって男は単なる性欲処理の道具でしかなかった。そして、大吾の二十代はまたたく間に過ぎ去り、気がつけば世間ではそろそろ中年と呼ばれてもおかしくない年齢に突入していた。
(俺、ずっとこのまま独り者なのかなあ……)
 得意先の客に届ける酒を乗せたライトバンを運転しながら、ふとそんな思いが今年三十一歳になった大吾の頭をよぎる。だが、根が単純な大吾は、昔から将来への思案が一時間どころか三十分も続いたことはない。かくして店の定休日に、商売物の酒を一杯引っかけて、いそいそと上野あたりのハッテン場に「突撃」する――大学時代から変わることのない定番のパターンを、大吾は現在に至るまで延々と繰り返してきた。
 そんな肉欲に満ちた日々を脳天気に過ごしていた大吾が、勇一と初めて出会ったのは、今から三か月前のことだ。

 (つづく)

小説『大吾、走る。』  (2)

2008年02月08日 10:42

 勇一はパーカーのポケットからキーを取り出し、色がさめた木製のドアに鍵をかけた。その時、彼の肩口に、どこからか飛んできた赤トンボがついと止まった。
「それじゃあ、行きましょうか」
 振り返った勇一は、穏やかな笑みを大吾に向けた。勇一の肩でほんの一瞬休息を得たトンボは、また軽やかに空に舞い立った。たぶん、勇一はそれに気づいていないだろう。
「お……おう」
 澄み切った九月の青空へと去ったトンボの行方をぼんやりと眺めていた大吾は、一拍遅れて野太い声で返事をした。大吾の返答が遅れたのは、トンボに気を取られていたからだけではない。その時大吾は、まだ生々しく体に残っている「昨晩の出来事」を思い返していた。
 大吾と勇一がアパートを出発してから約二十分。彼らは駅へと続く、開店前のひっそりとしたショッピングモールを歩いていた。大吾は初めて歩くこの界隈が物珍しく、太い首を左右にねじりながら辺りを見回していたが、ふと、勇一とずっと無言のままであることに気まずさを感じた。
「う……む」
 大吾は頭の中をフル回転させたあげく、
「田上ちゃん、よかったらまた、草野球の試合に来てくれねえか」
 結局当たり障りのない話題を口に出した。
「い、いや、もう野球は……」
「選手でなく、応援でさ」
 まだ人気のない通路を歩きながら、大吾と勇一はそんな会話を交わす。
 そんな彼らの微妙な距離感から、勇一と大吾がある程度親しいことは窺えるものの、彼らの言動にはどこかぎこちなさが残る。
 彼らには、相手にまだ話していない二つの秘密があった。
 まず、大吾と勇一、彼らが実は二人とも同性愛者であること。ただし、そのことを互いにカミングアウトしておらず、よって彼らはまだカップルではなく、ましてセックスフレンドでもない。
 そして、もう一つ。
 カップルでもセフレでもないにもかかわらず、昨晩、彼らは体を重ね合った。互いの了承は得ていないままに。

 (つづく)

小説『大吾、走る。』  (1)

2008年02月07日 11:39

 東京都心から埼玉方面の列車に乗って三十分ほどの場所にある北平(きたひら)町は、駅前から百メートルほど直線状に続くショッピングモールにパチンコ屋やスーパー、レストランなど主な施設が集中している。ただ日曜午前八時の現時点では開いている店はほとんどなく、歩いている人の数もまだまばらだった。そして、このショッピングモールが終わった先は静かな住宅街となる。
 一昔前の古めかしい家が立ち並ぶ中、ショッピングモールから続く道路から少し外れた通り沿いに、築十五年以上といったたたずまいの古びた木造アパートがある。そして、そのアパートの「田上」と表札が出ている一階の部屋のドアから、二人の青年がこんな会話を交わしながら姿を現した。
「いや、せっかくの日曜なのにまったくすまんなあ、田上ちゃん」
「いえ、気になさらないでください。僕もちょうど駅前に用事がありましたし」
 一人の男は、顔中にむさ苦しい無精ひげを蓄えた身長一九〇センチはある長身で、少々腹が緩んではいるが、XLサイズのジャンパーの中にはち切れんばかりの筋肉を備えている。短く刈り込んだ固めの髪に、昔の学園漫画の番長キャラにも似た太眉とだんごっ鼻、そして無精ひげは一見強面風ではあるが、そのいかつい顔に浮かべた屈託のない満面の笑みからは、彼の底抜けの明るさと人なつっこさが溢れんばかりに滲み出ていた。
 彼に「田上ちゃん」と呼び掛けられたもう一人の男は、巨漢の男より二十センチほど背が低い中肉中背のスリムな体型だ。フード付きの赤いパーカーを着た彼の、切れ長の目とすっと伸びた鼻筋、優しそうな顔立ちはなかなかに整っており、二人が並ぶと「美女と野獣」ならぬ「美男と野獣」を思わせた。
 この二人、無骨な巨漢が安岡大吾、スリムな優男は田上勇一という。現在家業の酒屋を継いでいる大吾が三十一歳、証券会社に勤める勇一が二十八歳だが、大吾は大きな四角い顔を覆う無精ひげやぼさぼさの短髪から、勇一はその童顔から、ともに実年齢より三、四歳は若く見える。もちろん表札からもわかるように、勇一がこの部屋の主であるが、大吾はその同居人ではない。

 (つづく)
 
※実際の作品と一部セリフ・描写が異なる場合もございます。
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